【市況】新興市場見通し:マザーズ戻りに期待も需給面で選別か、IPOは2社
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の新興市場では、日経平均が週末にかけてリバウンドする一方、マザーズ指数は逆行安となった。マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>やバイオ関連株が値を崩し、指数を下押しした。物色は決算等を手掛かりとして東証1部銘柄に向かったとみられ、3連休を控え値下がりしたマザーズ銘柄の押し目買いの動きも乏しかった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.8%であったのに対して、マザーズ指数は-3.5%、日経ジャスダック平均は+0.3%だった。マザーズ指数は直近の下値めどとなっている840pt近辺まで調整している。
個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で6.6%安、サンバイオ<4592>が同6.7%安となり、そーせいグループ<4565>は利益確定売りがかさみ同11.8%安となった。ミクシィ<2121>は同4.3%高、Sansan<4443>は同3.2%高と堅調だった。売買代金上位ではロゼッタ<6182>やUUUM<3990>が売り優勢で、前期業績を下方修正したフィンテック グローバル<8789>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、ブシロード<7803>は上昇トレンドを維持し、トランザス<6696>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力ではワークマン<7564>が同14.5%高となり、日本マクドナルドHD<2702>を抜いて新興市場時価総額トップに躍り出た。好調な業績を評価した買いが続いている。売買代金上位ではリバーエレテック<6666>が次世代通信規格「5G」関連などとして大きく買われ、バンダイナムコHD<7832>による株式公開買付け(TOB)が始まった創通<3711>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。反面、アエリア<3758>やセリア<2782>は軟調で、今期赤字拡大見通しの夢の街創造委員会<2484>などが下落率上位に顔を出した。IPOではマザーズにHENNGE<4475>とAI CROSS<4476>、ジャスダックにアンビスHD<7071>が新規上場し、公開価格を4~6割ほど上回る初値を付けた。
今週の新興市場では、マザーズ指数が戻りを試す場面も出てきそうだ。個人投資家からも注目されていた米中の閣僚級通商協議は無難に通過。目先は主力輸出株に関心が向かいそうだが、新興市場でも投資家心理が上向くだろう。6-8月期決算発表と7-9月期決算発表の端境期となり、中小型株に幕間つなぎ的な物色が向かいやすい局面ともなる。ただ、値動きの悪さが目立つ中小型株も散見され、需給面で銘柄選別色が強まりそうだ。
今週は、10月15日にティーケーピー<3479>、ロコンド<3558>、マネーフォワード<3994>、Sansan、ロゼッタなどが決算発表を予定している。前四半期を大幅な増収増益で通過しているロゼッタや、今期黒字転換見通しとなっているSansanの出足などが注目される。また、15日から国内最大のIT見本市「CEATEC(シーテック)2019」が開かれ、株式市場でもIoT(モノのインターネット)など先端技術への関心が高まる可能性がある。
IPO関連では、10月18日に浜木綿<7682>がジャスダック及び名証2部へ、ワシントンホテル<4691>が東証2部及び名証2部へ新規上場する。浜木綿は東海地方を中心に中国料理専門店を、ワシントンホテルはビジネスホテル等を展開している。ITベンチャーのような派手さはないが、比較的落ち着いた初値形成となれば、その後の値上がり期待が膨らむ可能性もあるだろう。
《FA》
提供:フィスコ