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【特集】「洋上風力発電」関連にフォローの風、新法施行で色めき立つ銘柄群 <株探トップ特集>

再生エネが注目されるなか、洋上に巨大な風車を設けて発電する「洋上風力発電」の存在感が高まってきた。政策を追い風にビジネス展開を図る有力企業を追った。

―温室効果ガス8割削減の命題クリアに向けた、再生可能エネルギーの切り札―

 洋上に巨大な風車を設けて発電する「洋上風力発電」の存在感が高まってきた。政府が掲げる「2050年までに温室効果ガスの80%削減」を実現するためには現在主流の火力発電からエネルギー転換することが不可欠だが、原子力発電を再稼働させるためには多額の安全対策費がかかることから、再生可能エネルギーのひとつとして洋上風力発電への注目度が増している。世界的な脱石炭の流れから欧州などで導入が加速、加えてコスト低下が急速に進むなか、今後は日本でも本格的な普及が見込まれ、市場形成に向けた各社の動きが活発化している。

●欧州では5年間で3倍以上に増加

 欧州では 風力発電が再生可能エネルギーの主力となっており、業界団体のWind Europeによると17年の洋上風力発電の累計導入量は1万5780メガワットと、12年の5000メガワットから3倍以上に増加。背景には風の状況が良いほか、遠浅の地形が続くなど自然環境に恵まれていることに加え、大型化や建築工法の改良による建設期間の短縮などによりコストが低下していることがある。資源エネルギー庁の資料では、13年上半期から17年上半期の世界の発電コストが、太陽光発電は1キロワット時当たり15.1円から9.1円に、陸上風力発電は8.6円から7.4円に低下。これに対し、洋上風力発電は23.4円から13.6円と依然として割高感が残るものの、低下率の大きさが目立っている。

 一方、日本の洋上風力発電の導入量は20メガワットにとどまっており、海底が急に深くなる地形や台風及び地震が多いなど自然環境が厳しいことが普及の足かせになってきた。ただ、こうした環境への適応やコスト削減を図るための実証事業が行われてきたことで、企業が積極的に参入する環境が整いつつある。

 政府も洋上風力発電の普及を後押しする構えで、昨年10~12月まで開かれた臨時国会では、海洋再生可能エネルギーの導入拡大につながる「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」が成立。今年4月に施行された。この法律は年度ごとに促進区域を指定し、公募・入札によって発電事業者を選定。選ばれた事業者は最長30年の海域専有が認められる仕組みだ。これを踏まえ、経済産業省と国土交通省は7月、「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖(北側・南側)」「千葉県銚子市沖」「長崎県五島市沖」の4ヵ所を有望区域に指定。この区域で調査を進めている企業は、事業者選びの際に有利となりそうだ。

●レノバは秋田県でプロジェクトを推進

 選定された有望区域では今後、国による風況・地質調査を経て事業者が決まる見通しだが、秋田県由利本荘市沖ではレノバ <9519> が洋上風力プロジェクトを進めており、昨年には環境影響評価調査(アセスメント)を実施。大林組 <1802> と関西電力 <9503> は今年6月に「秋田県北部洋上風力合同会社」を設立し、24年以降の運転開始を目指している。

●東電は銚子市沖に大型発電所を建設へ

 千葉県銚子市沖では、東京電力ホールディングス <9501> が8月に最大出力37万キロワットの洋上風力発電所の建設を計画していると発表するとともに、アセスメントに伴う計画段階環境配慮書を経済産業相に提出した。1月には今回の計画とは別の銚子沖で商用運転を開始しており、同社は将来的に国内洋上風力の総開発規模を200~300万キロワットとする計画だ。

 オリックス <8591> も1月末から銚子沖で事業性調査(海底地質調査)を行うなど、洋上風力発電所の建設に向けた取り組みを進めている。

●長崎県五島市沖では戸田建が先行

 長崎県五島市沖では、戸田建設 <1860> が調査を進めており、18年7月には環境影響評価書を経済産業相に提出。Jパワー <9513> と住友商事 <8053> は今年7月から、長崎県西海市沖で洋上風力発電事業の実現可能性を検討するための海底地盤調査を始めた。

●Jパワーは北海道檜山エリア沖で調査

 このほかでは、コスモエネルギーホールディングス <5021> のグループ会社と日立造船 <7004> が4月に「青森西北沖洋上風力合同会社」を設立し、Jパワーは8月に北海道檜山エリア沖で海底地形調査(深浅測量)を開始。北海道電力 <9509> は8月、グリーンパワーインベストメント(東京都港区)と石狩湾洋上風力発電事業に関して連携協定を締結している。

●清水建はSEP船建造に着手

 4月に再エネ海域利用法が施行されたこともあって、洋上風力発電の商用化が進むとみられ、これに伴って洋上風力発電用設備を建設する専用船「SEP船」の需要も拡大する見通し。五洋建設 <1893> は今年1月に大型クレーンを搭載したSEP型多目的起重機船が完成。清水建設 <1803> は7月、世界最大級の搭載能力及びクレーン能力を備えた自航式SEP船の建造に着手すると発表した。大林組と東亜建設工業 <1885> も共同で建造を進めており、20年10月に完成する予定だ。

 また、洋上風力発電所から陸上まで送電するシステムが必要となることから、6月に英企業から浮体式洋上風力プラント用超高圧ダイナミック海底ケーブルの技術開発業務を受注した古河電気工業 <5801> をはじめ、電線株にも商機がありそう。

 日本風力発電協会の会員に名を連ねているナカボーテック <1787> [JQ]、富士ピー・エス <1848> 、日揮 <1963> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> 、藤倉コンポジット <5121> 、ナブテスコ <6268> 、北川鉄工所 <6317> 、酉島製作所 <6363> 、千代田化工建設 <6366> [東証2]、NTN <6472> 、明電舎 <6508> 、電気興業 <6706> 、共和電業 <6853> 、山九 <9065> 、パスコ <9232> 、長大 <9624> 、応用地質 <9755> などにも注目したい。

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