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【市況】後場に注目すべき3つのポイント~円安一服やアジア株安を嫌気、物色対象も限られる

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

29日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は3日ぶり反落、円安一服やアジア株安を嫌気、物色対象も限られる
・ドル・円は弱含み、米中貿易戦争の再燃に警戒
・値下がり寄与トップはリクルートHD<6098>、同2位は東エレク<8035>

■日経平均は3日ぶり反落、円安一服やアジア株安を嫌気、物色対象も限られる

日経平均は3日ぶり反落。101.45円安の20377.97円(出来高概算4億3000万株)で前場の取引を終えた。前日の米国株式市場では、英国による約5週間の議会休会が明らかとなり、合意なきEU離脱への懸念が強まったことから売りが先行したが、原油相場の上昇や一部主要企業決算が好感され、主要3指数は揃って反発。これにより、シカゴ日経225先物清算値は大阪比35円高の20515円となり、円相場は朝方にかけて1ドル106円台を回復するなど、外部環境の落ち着きを背景に本日の日経平均は買い先行でスタート。しかし、先物が小幅な上昇に留まったことから、寄り付き直後に日経平均はマイナスに転じた。前場中ごろに開始されたアジア株式市場も軟調な出足となるなか、海外短期筋による指数先物に対する売りが観測され、日経平均は前引けにかけて下げ幅を拡大する展開となった。

セクターでは、サービス業が1%を超える下落となったほか、ゴム製品、精密機器、繊維製品、非鉄金属などがさえない。指数インパクトの大きいところでは、前引け時点で7%安になったリクルートホールディングス<6098>が1銘柄で日経平均を約26円分押し下げた。同社は、大株主13社が持つ政策保有株1億2150万株の売出(オーバーアロットメント分を含む)実施を発表している。売買代金上位では、KLab<3656>が7%安になったほか、東京エレクトロン<8035>、ZOZO<3092>、三菱商事<8058>、ホンダ<7267>、神戸物産<3038>が軟調。一方で、トヨタ自動車<7203>との資本提携が材料視されたスズキ<7269>が1.5%の上昇になったほか、ソフトバンクG<9984>、楽天<4755>、SUMCO<3436>、武田薬<4502>、アドバンテスト<6857>は堅調。

市場では、米中貿易摩擦長期化に対する懸念に加えて、ジョンソン英首相が10月中旬までの議会休会の方針を表明したことに伴い、10月末の欧州連合(EU)離脱期限までの議会審議時間の大幅短縮が想定されており、合意なき離脱への懸念も不安材料になっている。週末にかけては米中欧における経済指標発表が集中するなかで、景気敏感株のショートカバーによる戻りの側面が強かった日本株に対する押し目買いの動きは現状限られている。本日は、TOPIXリバランスとJPX400の定期入替えに伴うリバランス需給が発生するため見た目上の売買代金は2兆円を超えてくる可能性があろうが、前引け時点での東証1部の売買代金は1兆円を大きく割り込んでおり、やはり個別物色による商いは膨れていない状況とみられる。

直近の価格帯売買高において商いの集中している水準である節目の20500円処では上値の重さが意識されるなか、為替市場でも円安方向に振れていたドル円相場も動きが一服しており、朝方に提携の材料視された自動車セクターにおける大手2社の株価の動きも次第に鈍くなって来ている。新規の材料難ということもあり、物色は好業績銘柄に対する見直しの動きや円高メリット銘柄を主体とした地合いになりそうだ。


■ドル・円は弱含み、米中貿易戦争の再燃に警戒

29日午前の東京市場でドル・円は弱含み。米中貿易摩擦の再燃が警戒され、株安を手がかりとした円買いでドルは105円後半に沈んだ。

ドル・円は、米中貿易摩擦の再燃に懸念が残り、日経平均株価や上海総合指数の下落を手がかりに円買いが先行。また、欧米株式先物の軟調地合いや米10年債利回りの低下でドル売りもやや優勢となり、105円80銭台に軟化した。

ランチタイムの日経平均先物は軟調地合いが続き、目先の日本株安高継続を警戒した円買い方向に振れやすい。米株安観測によるドル売りも見込まれる。一方、米10年債利回りは下げ渋っており、現時点でドルの急落は想定しにくい。

ここまでの取引レンジは、ドル・円は105円83銭から106円13銭、ユーロ・円は117円28銭から117円63銭、ユーロ・ドルは1.1077ドルから1.1087ドルで推移した。


■後場のチェック銘柄

・シンクレイヤ<1724>、ニックス<4243>がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値下がり寄与トップはリクルートHD<6098>、同2位は東エレク<8035>


■経済指標・要人発言

【要人発言】

・鈴木・日銀審議委員

「具体的な追加緩和措置を講じる場合、効果と副作用を比較衡量しながら適切に対応」

「国内経済は景気後退を示唆するような状況にない」


<国内>
・14:00 鈴木日銀審議委員会見

<海外>
・特になし

《HH》

 提供:フィスコ

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