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【市況】明日の株式相場戦略=急落も狼狽した雰囲気なし、余裕を持って時を待つ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(26日)の東京株式市場は日経平均株価が約450円の急落となった。2万200円台の着地は終値ベースで1月10日以来、約7カ月半ぶりの安値に沈んだことになるが、それでも、朝方寄り付き前の時点と比べれば市場には若干ながら安堵にも似た空気が生じている。前週末の米株急落を引き継いでリスクオフの流れが東京市場を直撃するまでは覚悟していたストーリー。しかし、大時化(おおしけ)に見舞われたものの想定よりは波高は低めだった。

 マーケットの注目はパウエルFRB議長のジャクソンホール会議での講演内容、この一点に絞られていたはずだった。そして、パウエルFRB議長は、世界景気減速に対する警戒感を示し、今後の追加利下げにポジティブな姿勢を示したことで、株式市場にはプラスに働くことが期待された。しかし、それを中国の報復関税発表とトランプ米大統領の“報復に対する報復措置”発表が打ち消す格好となった。こうなってくるともはや歯止めがかからない、という失望感が投資家の脳裏に刻まれる。ただし、これは子供の喧嘩ではない、どこかで落としどころが見えてくる。今は心に余裕を持ってそれを待つよりない。

 きょうの東京市場はこれだけ激しい値動きをしても東証1部の売買代金は2兆円台に届かず。きょうで2兆円台割れは9営業日連続となった。人工知能(AI)を駆使した高速自動売買が商いの大半を担う“無人のエレベーター相場”と言ってしまえば身も蓋もないが、実際セリングクライマックスにつながるような狼狽売りが出ている様子はなく、人の体温が感じられない。

 とはいえ東京市場は、ひとけのない無機質な機械音だけが響くビルと化している、とも言い切れない。個別の中小型株の中には、こういう地合いにあっても買いを集める銘柄は存在している。

 天昇電気工業<6776>がストップ高に買われ、2006年2月以来13年半ぶりの高値圏に歩を進めた。プラスチック業界の草分けで自動車部品を主力とする弱電向け成型品メーカー。高度なプラスチック加工技術を有するタキロンシーアイとの資本連携が強く株価を刺激している。

 また、コスモスイニシア<8844>も雌伏の時を経て、再び大きく頭角を現してきた。株価指標面では超割安圏にあり、低金利環境が担保されている株式市場において不動産開発や流動化関連の中小型株は今後も物色の矛先が向かう可能性がある。

 このほか、海外市場や為替の影響を受けにくいゲーム関連株の一角に投資マネー流入が続いている。その代表格enish<3667>はきょうも“理外の理”相場で上昇加速となった。材料云々よりも注目すべきは需給関係。東証信用残が信用倍率1.3倍(16日申し込み現在)、日証金でも売り買い拮抗。更に貸株調達による空売りも積まれていることで、踏み上げ相場が演出されている。

 もっとも、こうした銘柄は板を見ながらでなければ参戦できず、銘柄観だけではないトレード技術が必要となる。

 あとは米国株のリバウンド局面を見込んで、売り込まれた主力銘柄の自律反発狙いとなるが、指数連動ということであれば、NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>を拾うのが分かりやすい。

 日程面では、あすは7月の企業向けサービス価格指数の発表がある。また、海外では6月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、8月の米消費者信頼感指数が発表される。また、米2年国債の入札が予定されている。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

最終更新日:2019年08月27日 07時54分

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