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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「TOPIXは好転未達」

株式評論家 富田隆弥

◆18日に日経平均株価は422円下げ、日足は陰転を暗示した。しかし、翌19日に420円高してすぐに下げを取り戻すと、その後は25日に2万1756円(ザラバ2万1823円高値)まで上昇を続け、割り込んでいた25日、75日、200日の各移動平均線と7月2日の高値2万1784円を一気に上抜き、日足は再び上昇基調を取り戻した。

◆チャートは18日の急落がダマシとなり、19日から買い戻しを交えて上昇に弾みを付けた格好だ。7月前半の梅雨空に覆われた「膠着相場」から一転、動きが出てきたことで期待も膨らむ。

◆こうなると、前回「様子見」とした自分の判断は誤りだったと言わざるを得ない。ただ、物色が半導体を中心としたハイテク・値がさ株に偏っているのは気掛かりで、中低位株や新興市場の小型株に物色範囲が広がることが望まれる。また、週足チャートは節である52週移動平均線(2万1684円)や一目遅行線の「雲」(2万1684~2万1968円)を週末26日終値で明確に上抜くのか確認したいところでもある。

◆ちなみに、 TOPIX(25日終値1577ポイント)は7月5日の高値1593ポイントや200日移動平均線1597ポイントのまだ下にあり、日足は好転していない。

◆25日のECB理事会では、量的緩和再開の検討方針が示され、ECBは9月にも利下げに動く可能性があるが、来週は日銀金融政策決定会合(29~30日)とFOMC(30~31日)がある。FOMCでの0.25%の利下げ決定はほぼ間違いなく、米国株はそれを織り込み済みだ。バカンスシーズンを控えてNYダウナスダックが上昇基調を続けられるのかも確認してみたい。

◆半導体市況の年後半の回復観測から米SOX指数が6~7月と大きく上昇して、年初来高値を更新した。出遅れていた日本の半導体株はアドバンテスト <6857> や東京エレクトロン <8035> 、ディスコ <6146> などが急速に見直しを強めた。また、安川電機 <6506> など減益を余儀なくされた中国関連株も、株価は「織り込み済み、悪材料出尽くし」という反応を見せている。為替が1ドル=108円台に戻したことで、トヨタ自動車 <7203> も年初来高値を更新するなど、輸出・ハイテク株を中心に買い安心ムードを強めた。

◆25日までの日本株の上昇はこうしたハイテク・値がさ株の上昇が牽引した。裁定買い残が4098億円と最低水準にあり、裁定買いを誘うなら4月の高値2万2362円の指向は難しくない。ただ、裁定買いやハイテク・値がさ株は「米国株次第」という側面も抱えている。米国株はFOMCというイベントを終え、そして8月のバカンス(夏休み)を控えて利益確定売りが出てもおかしくない。

◆梅雨明け間近の関東地方だが、東京市場もいっしょに梅雨明けするだろうか。半導体関連など、たしかに勢いよく上げたが、TOPIXはまだ好転しておらず、やはりこの夏は慌てることなく少し様子を見たいところと感じる。

(7月25日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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