【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「7月下旬まで日本株は上昇の可能性」
株式評論家 富田隆弥
◆NYダウ平均は2万7000ドル、S&P500は3000ポイント、ナスダックは8200ポイントと、米国株はそろって過去最高値を更新。米中通商協議が再開し、FRBのパウエル議長は米議会で「利下げに前向きな姿勢」を表明し、マーケットは再び需給相場へ動き出した。NYダウのチャートは昨年来の「三尊高値」を突破して好転を明確にしていることから、しばらくはこの強い流れに沿って対応すべきだろう。
◆相場は「流れに従う」のが基本。上昇相場では「買い方」が有利となり、日足チャートで下値抵抗線や25日移動平均線を維持しているうちは個別株へのスタンスも「押し目買い―吹き値売り」が続く。
◆とはいえ、FRBが利下げに動く裏には、米国や世界の景況感の鈍化がある。それを無視して「カネ余り」の需給だけで株式市場の上値追いがどこまでも続くとも思えない。過去には「利下げ→株価下落」というケースは幾度もあり、いずれどこかで景気や業績の悪化を嫌気する局面が訪れることは頭に入れておきたい。その意味で日足チャートの下値抵抗線や25日移動平均線は常にチェックしておくべきだ。
◆最高値をマークする米国株に比べて日本株の動きはいまいちだ。連日の薄商いで活気に乏しい。日経平均株価(11日終値2万1643円)は昨年10月高値2万4448円に遠く及ばず、4月高値2万2362円にも届かず、200日移動平均線(2万1500円)や52週移動平均線(2万1724円)近辺でウロウロしている。
◆この冴えない日本株の背景には、やはり10月に控える消費税引き上げへの警戒感が大きく、また米中貿易摩擦の影響で中国経済の鈍化も懸念されることがあろう。ただ、日経平均は6月4日安値2万289円から切り返して日足は上昇基調にある。そして、需給関係は底値を示唆する。裁定買い残は6月21日に3963億円と過去最低水準まで減少し、7月5日現在、まだ5124億円と低水準で、信用買い残も4月26日に2兆782億円まで減少し、まだ2兆1112億円と低水準にある。つまり、日経平均が25日移動平均線(2万1350円処)を維持してジリ高基調を続けるなら、見直し買いが強まり上値模索となる可能性は十分にあると言える。
◆日本では21日に参院選、29~30日に日銀金融政策決定会合がある。そして、米国のFOMCが30~31日。先行きはともかく、25日移動平均線を維持するなら7月下旬まで日米株価は利下げ期待を背景に上昇基調を続けてもおかしくない。
(7月11日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース