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【特集】ロックオン Research Memo(1):2019年9月期第2四半期は、営業利益・経常利益の黒字化を達成

ロックオン <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

株式会社ロックオン<3690>は、現代表取締役社長の岩田進(いわたすすむ)氏が大学時代の2000年に自宅で創業した関西発のITベンチャーである。広告効果測定システム「アドエビス」、ECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」をヒットさせ、事業が成長軌道に乗った。クラウド型広告効果測定システムの「アドエビス」は、年々機能を拡張し、2015年にはマーケティングプラットフォーム「アドエビス」として進化し、その利便性が高く評価される。広告効果測定市場における同社の市場シェアは44.2%と圧倒的なNo.1(2018年度、4年連続)である。2014年に東証マザーズ市場に上場を果たした。2018年10月には、(株)EVERRISEより運用型広告レポート自動作成ツール「アドレポ」を事業承継し、サービスをスタートさせた。

1. 事業概要
同社はマーケティングプラットフォーム(PF)事業として、顧客企業のデジタルマーケティング活動を支援する様々な商品・サービスをクラウドベースで提供している。同社の商品ラインの中で中核となるのが、「アドエビス」と「スリー」である。「アドエビス」は広告効果測定システムを中心とした「測定」機能に強く、そこで蓄積されたマーケティングデータを「活用」する機能により、一気通貫したマーケティングを実現する、マーケティングプラットフォームである。このツールは、各広告の成果を一元管理・可視化し費用対効果の良し悪しを簡単に把握することができる。「スリー」は、AIによる完全自動運用を実現したリスティング広告運用プラットフォームであり、自動最適化、自動入稿を可能とする。同社の基盤技術は、測定したビッグデータをAIで解析し、データ活用を自動化するものである。

インターネット広告市場は継続的に成長しており、同社には追い風となっている。2018年のインターネット市場規模は1兆7589億円と推定され、広告市場の4分の1を超えて益々存在感を増している。動画広告やSNS広告の増加など出稿するメディアの多様化は一元管理のニーズを高めていると考えられ、この点でも一気通貫のプラットフォームを持つ同社にとっては追い風である。

2. 業績動向
2019年9月期第2四半期の売上高は1,081百万円(前年同期比23.2%増)、営業利益21百万円(前年同期は70百万円の損失)、経常利益17百万円(同81百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失46百万円(同58百万円の損失)となり増収を継続するとともに損失が縮小した。売上高に関しては、主力のマーケティングPF事業が前年同期比31.0%増と成長をけん引した。主力サービス「アドエビス」での2018年からの新価格体系への移行により平均単価が98,042円/月(前年同期比22,196円増、29.3%増)と伸び増収に寄与した。営業利益に関しては、2019年9月期は投資回収期という位置付けどおり、黒字化を達成した。人件費の84百万円増などのコスト増があったものの、マーケティングPF事業の増収効果が上回った。なお、2019年9月期第2四半期は訴訟関連損失60百万円を特別損失に計上したため、親会社株主に帰属する四半期純損失46百万円となったが、一過性であり下期以降は発生しない。

同社は、期初の時点では、2019年9月期の業績に影響を与える未確定な要素が多いため、通期の業績予想をレンジ形式により開示している。2019年9月期通期の業績予想は、売上高で2,250~2,350百万円(前期比24.7~30.2%増)、営業利益で0~50百万円(前期は98百万円の損失)を予想する。売上面では、主力のマーケティングPF事業が引き続きけん引する予想である。上期に顕在化した新料金改定に起因する解約への対策としては、カスタマーサクセス本部(旧サポート部門)の人員採用を増やし、育成を強化する。顧客数の伸びが戻れば、新料金プランによる単価上昇及び連携サービスによる追加売上などとあいまって、増収ペースが上がることが予想される。通期売上高予想(中央値)に対する上期進捗率は47.0%。期末に向けて売上が積み上がるストック型ビジネスである同社の特性を考えると折り返しは順調だ。利益面では、上期に営業利益・経常利益の黒字化を達成し、通期でも営業利益の黒字化を予想する。通期営業利益予想(中央値)に対する上期進捗率は84.2%。弊社では、通期での営業利益予想は幅があるが、上限である50百万円により近い着地を見込んでいる。

3. 成長戦略
同社における最重要な経営資源はヒトであり、人員投資は同社の成長の原動力である。これまで超売り手市場の開発人材を多く採用できた背景には、同社が関西のITベンチャーとして有名な存在であることが有利に働いている。現在採用を強化しているのはカスタマーサクセス(旧サポート)人員である。既存の優良顧客の利用頻度を向上し、連携機能の利用を含め利便性を向上させるために、手厚い支援を行うのが経営方針だ。カスタマーサクセス本部を設け、人員採用及び育成を強化する。結果として、単価の向上及び解約率の低下を狙う。

同社は、2019年版日本における「働きがいのある会社」ランキングで7年連続、8度目のランクインをした。同調査は、毎年約60カ国で7,000社、500万人を超える従業員が調査に参加する世界最大規模の従業員意識調査である。同社が高く評価された点は、従業員間の連帯感、会社の環境や制度、自社の仕事に対する姿勢などであり、多くの取り組みの中でも「山ごもり休暇制度」が特徴的である。この制度は、全従業員が毎年取得必須の9連続休暇制度であり、会社と一切の連絡を絶つことが義務付けられている。社内満足度も高く、社員の「つながらない権利」を守り、年次有給休暇の取得を促進する制度の特徴から働き方改革の好事例として社外からも高く評価されている。

■Key Points
・測定したビッグデータをAI解析し、データ活用する自動化ツールを提供。主力商品「アドエビス」では平均単価が向上
・2019年9月期第2四半期は投資回収期間に入り、公約どおり営業利益・経常利益の黒字化を達成
・2019年9月期は通期で20%を超える増収、人員増をこなして黒字化予想
・成長の原動力として人材投資を継続。今期の注力はカスタマーサクセス人材。働き方改革先進企業としての評価も手伝い人材採用は順調
・株式会社イルグルム(YRGLM Inc.)へ商号変更

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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