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【特集】人生100年時代を強力サポート、「認知症関連株」に活躍の時 <株探トップ特集>

高齢化の進展に伴い大幅な増加が予想される認知症患者の対策は、生涯現役社会の構築を目指す安倍政権にとっても必須課題となっている。この課題解決に向け活躍が見込まれる銘柄群を追った。

―20兆円規模の社会的コストと向き合う、政府の新大綱決定でテーマ物色人気再燃へ―

 政府は認知症対策の行動計画となる新たな大綱を月内に開催予定の関係閣僚会議で正式決定する見通しだ。安倍政権は「人生100年時代」を見据え、誰もがいくつになっても活躍できる生涯現役社会の構築に向けた取り組みを進めており、高齢化の進展に伴い大幅な増加が予想される認知症患者の対策は避けては通れない課題。これまでも2015年に策定した認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」に基づき医療・介護サービスの整備などを進めてきたが、更に踏み込んだ内容とすることで有病率を下げる狙いがある。

●政策の柱は「共生」と「予防」

 政府は5月、新たな「認知症大綱」のたたき台となる素案を公表した。それによると、住み慣れた地域の中で尊厳が守られ、暮らし続けられるようにするための取り組み(共生)に加え、発症や進行を抑える「予防」を政策の柱として打ち出した。具体的には、学校教育などを通じて認知症患者への理解を進めるほか、地域の公民館や公園などを使った住民主体による介護予防の取り組みの推進、医療・介護従事者の認知症対応力を向上するための研修の実施、公共交通施設や建築物などハード面のバリアフリー化を促進するとともに、認知症の発症や進行の仕組みの解明及び予防法、診断法、治療法の研究開発を強化するとしている。

 政府が新オレンジプランの後継となる大綱を掲げる背景には、膨らみ続ける社会保障費の抑制につなげたいという意向があるとみられる。厚生労働省の推計では、高齢者の認知症患者数は25年に約700万人(5人に1人)となる見込み。昨年10月に開かれた経済財政諮問会議では有識者が「認知症の社会的コストは25年に19兆4000億円に達し、30年には21兆円を超える」との試算を提示した。患者だけでなく、家族の負担や社会的費用の増大を解決するためには官民が連携して取り組むことが重要となり、「認知症大綱」の正式決定をきっかけに関連銘柄が注目される場面もありそうだ。

●しのぎを削る製薬メーカー

 現在、アルツハイマー型認知症の治療薬としては、武田薬品工業 <4502> の「レミニール」、エーザイ <4523> の「アリセプト」、小野薬品工業 <4528> の「リバスタッチパッチ」、第一三共 <4568> の「メマリー」などがあり、エーザイは今春から抗体「BAN2401」について早期アルツハイマー病を対象としたグローバルな第3相臨床試験を開始している。

 更に、富士フイルムホールディングス <4901> 傘下の富士フイルム富山化学が「T-817MA」の開発を進めているほか、大塚ホールディングス <4578> 傘下の大塚製薬は「AVP-786」が第3相臨床試験の段階。メドレックス <4586> [東証M]の「MRX―7MLL」は19年中にもIND(臨床試験開始申請)が行われる見通し。

 アルツハイマー型認知症など数多くの中枢神経領域疾患の臨床試験受託実績があるリニカル <2183> 、アルツハイマー病研究・解析試薬を手掛けるコスモ・バイオ <3386> [JQ]などにも注目したい。

●症状改善の研究開発も活発化

 また、認知症の改善につながる研究開発も活発化している。ユーグレナ <2931> は5月、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の継続摂取が脳の状態に効果的に寄与することをヒト臨床試験で確認したと発表。キリンホールディングス <2503> の健康技術研究所は4月、乳由来の認知機能改善ペプチドであるβラクトリンが記憶力を改善することを明らかにした。

 このほか、アサヒグループホールディングス <2502> は1月、筑波大学との共同研究で発酵乳からみつかったラクトトリペプチドが脳の活性化に効果的であると発表。昨年には明治ホールディングス <2269> がカカオチョコレートの継続摂取により認知機能などにかかわる生体指標が改善することや、伊藤園 <2593> が抹茶の継続摂取で認知機能の一部が改善すること、ファンケル <4921> がフェルラ酸を含む食品がMCI(軽度認知障害)を緩和する効果を確認している。

●早期発見に取り組む企業続々

 認知症の早期発見・評価の重要性が増すなか、これらに取り組んでいる企業も要マークだ。オプティム <3694> は4月、進行性MCI識別技術に関する特許を持つERISA(島根県松江市)と画像診断領域での協業に向けた基本合意書を締結。同月にはクレディセゾン <8253> が高齢者向けに脳健康診断テスト事業を行う脳活性総合研究所(東京都千代田区)に出資したほか、ディー・エヌ・エー <2432> は認知症やがんなどを対象としたヘルスケア事業の更なる加速に向けてChief Medical Officer(CMO)を設置した。

 これら以外では、島津製作所 <7701> と国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が1月から、京都大学や東京大学などと共同で確立したアルツハイマー病変検出法を用いて約2000の血液検体の分析を開始。リコー <7752> は同月、社会医療法人の北斗(北海道帯広市)と共同で、脳機能ビッグデータをとりまとめ、それを解析するツールを開発したと発表している。

 グループ会社が視空間認知能力を鍛えて脳を活性化させる「S3D脳活性化」ソリューションを手掛けるルーデン・ホールディングス <1400> [JQG]、認知症及びMCIの早期発見のための自己診断テスト「認知機能チェック」を運営するエス・エム・エス <2175> 、自社開発した脳活性化メソッド「シナプソロジー」を展開するルネサンス <2378> 、太陽生命保険(東京都中央区)のスマートフォン向け「認知症予防アプリ」のリニューアル開発を支援した実績を持つネオス <3627> 、がんや認知症などさまざまな疾患の病態解明及びバイオマーカー探索を行う「メディエータースキャン」を提供しているヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ <6090> [東証M]のビジネス機会も拡大しそうだ。

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