【特集】下げ渋る東京市場、「6月中間期高配当利回り株」に“逆襲高の芽” <株探トップ特集>
通商摩擦懸念に加え、急速なドル安・円高などネガティブ材料の多い東京株式市場だが、今は株主還元に前向きな好業績銘柄を安く拾うチャンスが提供されている。
―静かに訪れた好機、キャピタルゲインも期待できる高配当銘柄でリベンジ相場へ―
4日の東京株式市場は、前日までの4日続落で日経平均株価が合計849円の大幅下落となった反動もあり、値ごろ感からの押し目買いが優勢のスタートとなったものの、その後は外国為替市場で1ドル=107円台後半へと円高・ドル安が進行したことや、上海総合指数が軟調な推移となったことなどから、株価指数先物主導で下げに転じた。一時は、前日比121円安まで水準を下げたものの、後場に入って徐々に下げ渋る展開をみせた。こうしたなか、配当面でも魅力度の高い12月期決算企業で6月期中間配当を実施している高配当利回り銘柄のなか、今期営業利益が増益予想でPERが比較的割安な銘柄に注目した。
●ダイキアクシス、浄化槽排水処理システムなど環境機器関連が拡大
ダイキアクシス <4245> が5月13日に発表した19年12月期第1四半期(1-3月)の連結決算は、売上高97億5000万円(前年同期比0.3%増)、営業利益4億7000万円(同23.1%増)と、通期営業利益予想12億円に対する進捗率は39.2%に達している。第1四半期の環境機器関連事業の売上高は、前年同期比17.3%増の56億6800万円、セグメント利益(営業利益)は同33.7%増の5億5600万円となった。浄化槽排水処理システムは前年同期と比べ増加した。国内売上高では、大型案件の工事進行基準適用により売上高を計上したこと、また上水事業で機器売り5案件の完成があったことなどによる。
●サカタインクス、アジアおよび米州を中心にパッケージ関連の印刷インキ拡販
サカタインクス <4633> は5月14日に、19年12月期第1四半期(1-3月)の連結決算を発表した。売上高411億8900万円(前年同期比6.2%増)、営業利益15億8900万円(同13.0%増)となり、上半期(1-6月)営業利益予想22億5000万円に対する進捗率は70.6%に達している。アジアおよび米州を中心にパッケージ関連印刷インキの拡販が進んだほか、販売価格の改定効果などが寄与した。なお、上半期および通期の業績予想は従来計画を据え置いている。
●CAC、広告や医療向けの感情認識AIの需要旺盛
独立系のシステム開発会社で、医薬品の開発支援なども展開するCAC Holdings <4725> は5月14日、19年12月期第1四半期(1-3月)の連結決算を発表した。売上高135億5000万円(前年同期比9.3%増)、営業利益6億6300万円(同3.0倍)と大幅増益で、通期営業利益予想の20億円に対する進捗率は33.1%に達している。広告業界や医療業界向けに旺盛な需要がある感情認識AIを活用したコミュニケーションアプリなどを手掛け、AI関連銘柄として頭角を現している。更に、IT大国のインドに子会社を擁し海外展開でも優位性を発揮している。
●カーボン、炭素繊維製品および特殊炭素材料の販売は好調
日本カーボン <5302> が5月10日に発表した19年12月期第1四半期(1-3月)の連結決算は、売上高121億300万円(前年同期比42.6%増)、営業利益50億9500万円(同2.7倍)としている。主力の電極部門は、電極市場全体として需給の引き締まりが持続し、主要原材料の価格上昇を背景に、売価是正が浸透している。ファインカーボン部門は、旺盛な需要を背景に、 炭素繊維製品および特殊炭素材料の販売は好調を維持している。また、リチウムイオン電池負極材は、民生家電向けが減少しているものの車載向けを中心に底堅さを維持している。
●岡部、ロックボルトなどの土木製品の販売堅調
岡部 <5959> は4月26日、19年12月期第1四半期(1-3月)の連結決算を発表した。売上高は154億3900万円(前年同期比6.7%増)、営業利益11億4100万円(同32.1%増)を見込んでいる。国内で、省力化に貢献する鉄筋継手などの構造機材製品や、災害復興工事などに使用されるロックボルトなどの土木製品の販売が堅調に推移した。また、米国では連結子会社が製品ラインアップを拡充したことなどにより建設資材販売のシェアを伸ばした。更に、自動車関連部品では、米国でのトラック・トレイラー向けボルトナット類の販売が堅調に推移した。
●東京ソワール、1Q営業利益は2Q累計利益予想を超過達成
東京ソワール <8040> [東証2]は5月13日、19年12月期第1四半期(1-3月)の単体決算を発表した。売上高は49億2400万円(前年同期比1.7%減)と小幅減収となったものの、営業利益は3億6500万円(同40.2%増)の大幅増益となり、第2四半期累計(1-6月)の予想営業利益3億2000万円(前年同期比13.9%減)を超過達成している。主な取引先の百貨店販路および量販店販路では、閉店や売場閉鎖の影響による売上高減少はあるものの、取引条件の変更や値下げ販売の抑制により収益性の向上・改善に努めている。利益面では、製造コスト削減や返品調整引当金の減少により、売上総利益は23億800万円(前年同四半期比6.2%増)となった。
◆主な6月中間期末高配当利回り好業績銘柄◆
予想配当 通期予想
利回り 営業
(年間) 増益率 株価 PER
ヒノキヤG <1413> 4.41 47.6 2040 7.8
高橋ウォール <1994> [JQ] 4.64 82.6 646 5.8
ヒューリック <3003> 3.38 12.5 844 10.2
クラレ <3405> 3.30 5.6 1274 11.1
ブロドリーフ <3673> 2.46 9.4 528 16.5
D・アクシス <4245> 2.90 30.0 829 12.4
DIC <4631> 4.69 7.5 2665 7.2
サカタINX <4633> 3.18 17.4 942 11.0
洋インキHD <4634> 3.91 14.1 2300 11.2
アルプス技 <4641> 4.03 5.4 1742 12.4
CAC <4725> 3.18 40.3 1573 20.5
日電硝 <5214> 4.21 0.5 2610 14.0
カーボン <5302> 4.93 20.1 4055 3.4
岡部 <5959> 2.93 14.0 956 11.1
太陽工機 <6164> [JQ] 3.83 15.0 1305 5.9
ツバキナカ <6464> 4.95 17.7 1637 8.2
東ソワール <8040> [東証2] 3.33 24.8 902 13.1
東建物 <8804> 3.36 6.9 1132 8.5
スペース <9622> 4.60 20.1 1173 10.7
※株価は4日終値、単位:%、円、倍
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