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【特集】全般波乱相場も何のその、逆行高期待の「6月IPO」で要注目の株 <株探トップ特集>

東京株式市場は世界的なリスクオフのなかで売りを浴びる形となっているが、6月相場ではIPO銘柄が個別に輝く可能性がある。11社が新規上場する見通しにあるなか、注目銘柄にスポットを当てた。

―名刺管理サービスのSansanに投資家の熱視線、美白化粧品の新日本製薬もマーク―

 6月相場の初日となった3日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末に比べ190円安の2万410円と4ヵ月ぶり安値に下落した。米国によるメキシコに対する追加関税の発表もあり軟調地合いが続く。そんななか、今月は新規上場(IPO)銘柄への関心が高まりそうだ。IPO銘柄は新鮮味があり、株価に荷もたれ感がないことが魅力だが、特に今月は注目の大型IT関連企業Sansan <4443> [東証M]が登場する。市場にはSansanを中心とするIPO人気に期待する声が高まっている。

●今月は11社が登場、4~5月のIPO銘柄は軒並み高騰

 6月は11社のIPO企業が登場する。内訳は東証マザーズが6社、東証2部が2社、ジャスダックが1社、福岡証券取引所と札幌証券取引所アンビシャスが1社ずつとなっている。足もとの株式市場は波乱状態にあるが、6月IPOに向けての期待感は強い。その背景には、5月までのIPO銘柄の好調なパフォーマンスがある。先月30日に東証マザーズに新規上場したバルテス <4442> [東証M]は、上場2日目に公開価格の2.8倍で初値をつけたが、4月以降のIPOの6銘柄中、4銘柄は上場2日目に初値をつけ、2倍を超える上昇率が相次いだ。また、年初以降でも初値が公開価格を下回ったのは1社のみ。全体相場は方向感に欠けるものの「IPO銘柄への人気は続いている」(市場関係者)という。

●Sansanは名刺管理サービスで急成長、先行きの業績黒字化に期待

 例年、6月には大型IPO銘柄が登場する傾向があり昨年はメルカリ <4385> [東証M]が新規上場している。あす福証に上場する大英産業 <2974> [福証]から始まる今年の6月IPO相場だが、なかでも注目度が高いのは何と言っても19日に東証マザーズに新規上場するSansanだ。同社はクラウド名刺管理サービス「Sansan」を展開しており、法人向け名刺管理市場では国内シェア8割強を誇る。また、名刺管理アプリの「Eight」も展開している。発行価格は7日に決定するが、仮条件(4000~4500円)から弾いた資金吸収額は300億円強、時価総額は1200億円強と大きい。

 昨年のメルカリに続くユニコーン・クラスの大型IPOとして注目されるSansanだが、「日本のビジネス文化である名刺を活用したシステム構築に向けた潜在成長力は高い」(アナリスト)との声が出ている。ただ、19年5月期の業績予想は9億8800万円の最終赤字の状態にあることが、警戒材料となっている。この点に関しては「大量のテレビCMを打った宣伝広告費が業績の足かせとなっている。これを考慮すれば、黒字化のメドが見えない企業ではない」(前出のアナリスト)との声もある。同社の場合、IPO時の資金吸収額が大きいことが警戒されており、公開価格の水準にも左右されるものの、全体相場が大きく崩れなければ、堅調な初値を期待する見方が出ている。

●新日本製薬は「パーフェクトワン」で注目、あさくまは高い知名度誇る

 Sansanに続く6月IPOの注目銘柄に挙げられているのが、6月27日に東証マザーズに新規上場する新日本製薬 <4931> [東証M]だ。同社は、健康食品や医薬品の商品開発を行っているほか、特に美白化粧品の「PERFECT ONE(パーフェクトワン)」を手掛けていることで知られている。

 パーフェクトワンを中心とする化粧品分野インバウンド需要などが寄与しており、同社の19年9月期連結営業利益は、前期比4%増の26億円が見込まれている。想定発行価格1470円から弾いた予想PERは13倍台。最終的に公開価格がいくらで決まるかに左右されるが、資生堂 <4911> やファンケル <4921> などに比べPER面での割安感が指摘されている。加えて、知名度が高いのが27日にジャスダックに新規上場する「ステーキあさくま」を展開するあさくま <7678> [JQ]だ。同社の業績は着実な伸びが期待されている。

●ブランテクノとインフォネットは軽量で好パフォーマンス期待

 株価の好パフォーマンスが期待されるのが、21日のブランディングテクノロジー <7067> [東証M]と25日のインフォネット <4444> [東証M]だ。ともにSBI証券が主幹事で、東証マザーズに上場する。ブランテクノはインターネットを利用した情報提供サービスや広告代理店業など、インフォネットはWebサイトの構築やシステムアプリの開発などを手掛けている。ともに、想定発行価格から弾いた時価総額は20億円台と小さく値幅取りが期待できる。更に、28日に東証マザーズに新規上場するリビン・テクノロジーズ <4445> [東証M]は不動産会社比較メディアを運営しており、不動産テック関連として注目されている。

■6月の新規上場企業

新規
上場日 コード・市場  銘柄            主幹事
6月4日 2974・福証  大英産業          エイチ・エス
 12日 7065・東2  ユーピーアール       野村
 19日 4443・東マ  Sansan        野村
 19日 2976・札ア  日本グランデ        藍沢
 20日 7066・東マ  ピアズ           SMBC日興
 21日 7067・東マ  ブランディングテクノロジー SBI
 25日 4444・東マ  インフォネット       SBI
 26日 7677・東2  ヤシマキザイ        野村
 27日 7678・JQ  あさくま          三菱UFJ
 27日 4931・東マ  新日本製薬         みずほ
 28日 4445・東マ  リビン・テクノロジーズ   みずほ

(注)札アは札証アンビシャス、東マは東証マザーズ、JQはジャスダック、東2は東証2部

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