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【特集】窪田朋一郎氏【止まらない下落トレンド、撤退かそれとも……】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―米中摩擦で世界景気減速懸念再び、揺れるマーケット―

 名実ともに6月相場入りとなった週明け3日の東京株式市場は日経平均株価が4日続落となった。米中摩擦問題が長期化の様相を呈すなか、世界景気先行きに対する不安心理が膨らみ、株式市場では投資資金が足もと離散傾向を強めている。急激な円高進行も主力株にはネガティブ材料で、ヘッジファンドなど海外短期筋の先物絡みの売り圧力に屈する相場展開を余儀なくされている。ここは撤退すべきかそれとも買い向かうチャンスなのか。市場第一線で活躍する有力マーケットアナリスト2人にここからの見通しを聞いた。

●「目先自律反発はあっても下値指向は継続」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 東京株式市場は当面は下値模索の流れから脱却しにくいだろう。全体指数は移動平均線とのカイ利率も高まっていることから、短期的には売られ過ぎの反動でリバウンドの動きも予想されるが、自律反発の領域にとどまるとみている。結論から先に言えば、6月相場における日経平均のレンジは上値2万1200円、下値1万9000円のゾーンを想定している。

 米中摩擦が再燃しているが、中国側も強硬姿勢を崩さないため一朝一夕では解消に向かう可能性が低くなっている。これまでは、混迷を極めた貿易交渉も6月28~29日に開催予定のG20サミットで米中両国の手打ちとなることへの期待があった。その楽観的なシナリオを基に株式市場は戻りを試していたことから、それが崩れかけている現在は再び下値を探る展開を強いられるのも致し方ないところだ。

 加えて、外国為替市場では1ドル=108円台前半まで急速にドル安・円高が進行している。米長期金利の低下を背景とした日米金利差縮小の思惑から当面は円買いの動きが続きそうで、主力輸出株を中心に株価の下落圧力は拭えない。

 光明を見いだすとすれば、自国の株式市場を重視するトランプ米大統領が、これ以上のNY市場の株価下落を回避する目的で、リップサービス的にマーケットがポジティブ視するようなコメントを出すこと。ただし、これは全体相場反転の足掛かりとなるかもしれないが、実の伴わないものであればすぐに効果は剥落して短期的な戻りで終わるだろう。

 物色対象としては、相対的に内需ディフェンシブセクターへの注目度が増すことになり、そのなかNTTドコモ <9437> やKDDI <9433> 、ソフトバンク <9434> などの通信キャリアは底堅い値動きをみせる可能性がある。また、腕に覚えのある投資家は、東京エレクトロン <8035> やキーエンス <6861> など下げ過ぎた主力輸出株の突っ込み狙いの買いもひとつの選択肢となるが、これはあくまで短期スタンスでの対処が前提となる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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