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【特集】桂畑誠治氏【一進一退の日経平均、“トランプ摩擦”の影響は】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―超閑散商いで様子見ムード、今求められる投資スタンス―

 週明け27日の東京株式市場は買い優勢の展開となったものの、今晩の米株市場が休場ということもあって市場参加者は少なく、記録的な閑散商いのなかで上値の重い展開を余儀なくされた。日米首脳会談は無難に通過したものの買い材料にも乏しく、相場の方向性は依然として定まらない。6月末のG20サミットに向け、米中摩擦問題の行方にマーケットの関心が高まるなか、日経平均株価がこの先どちらに傾くのか、また物色の方向性について市場関係者に意見を求めた。

●「下値リスクへの警戒ムードは拭えず」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 強弱観が対立するなか、全体相場は方向感も定まりにくい地合いとなっている。日経平均はいったん下げ止まる動きをみせているが、かといってここから上値追いを強力に後押しするような材料は見当たらず、下値への警戒は怠れないとみている。

 今回の日米首脳会談については、共同声明は出さないということが事前に明らかになっていたように、株式市場への影響は限定的なものになることは予想されていた。8月合意を目指す方向にあり、結論は先送りとはなっても足もとで交渉が決裂する可能性に乏しく、その点、波乱要因とはなりにくい。

 ただ、注意すべきは米中貿易摩擦の問題だ。6月のG20サミットでトランプ米大統領と習近平国家主席が会談し解決に向かうとの期待から、株式市場もいったんは下げ止まる動きをみせているとはいえ、現状は進展がみられないことも事実であり警戒しておく必要がある。米国もPMIなどの経済指標が想定以上に減速する可能性をはらんでおり、相場の下振れ要因として注意が必要だ。

 米中の対立では、ファーウェイの制裁の悪影響が大きくなることや、制裁が中国の人工知能(AI)や監視機器関連企業に広がっていくことが懸念される。このほか米中交渉でまだマーケットが認知していない新たなネガティブ材料が加われば、日経平均は2万円割れもあり得るとみている。

 上値については買い戻しでリバウンドに転じても2万1500~2万2000円のゾーンにとどまりそうだ。物色対象としては電機や機械など外需セクターは回避せざるを得ず、内需も消費税引き上げの影響が及ぶ業態は買いを入れにくい。内需株でも企業のIT投資需要を背景にソフト開発やシステム構築を手掛ける中小型株に、消去法的に人気が集まる可能性がありそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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