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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「燻る“二段下げ”懸念」

株式評論家 富田隆弥

◆マーケットの関心は引き続き米中貿易協議の行方に集まるが、日米株価のチャートは基調を崩したままで修復を果たせずにいる。「セル・イン・メイ(5月に売って旅に出ろ)」や「荒れる3日新甫(しんぽ)」というジンクスもある5月だけに、様子見(慎重)スタンスはもうしばらく続きそうだ。

日経平均株価は5月14日に2万0751円まで下げたが、サイコロジカルランイが3勝9敗(25%)、RCI(13日線)がマイナス90%台、騰落レシオ(25日線)が73%になるなど短期テクニカルは底値感を強め、そこで下げ止まりをみせた。だが、その後の戻りは20日の高値2万1430円止まりで(23日現在)、割り込んだ75日移動平均線(2万1439円)を突破できずにいる。

◆日足チャートは5月14日までの下落で200日移動平均線、25日移動平均線に続き、75日移動平均線も割り込み「陰転」を暗示した。その後の戻りは「アヤ戻り」として多くの節が待ち構えているが、一つ目の節である75日線を抜けずにいるなど、戻りの足取りは弱々しい。ここから再び下落に転じるようだと、日足は「二段下げ懸念」が頭をもたげてくることになる。

◆また、二段下げの懸念は週足にも漂う。昨年10月高値2万4448円から12月安値1万8948円までの下落を「一段下げ」として、その後のアヤ戻りは4月高値2万2362円止まりであるから、5月の下落は週足で「二段下げの懸念」を台頭させることになる。

◆このようにチャートは日足、週足ともに「陰転」を暗示したままで「二段下げの懸念」が漂う状況にある。5月27日に日米首脳会談が行われ、そこで日米貿易交渉がスムーズにまとまるのか。そして、6月にはG20サミット(6月28~29日)が開かれるが、そのタイミングで米中首脳会談が行われるのかどうか。国内でも6月26日の国会会期末を控えて消費税引き上げや衆参ダブル選挙の有無など政局が慌ただしくなろう。

◆ただ、そうした国々の動きとは別に株式市場は森羅万象を織り込んでいく。トランプ米大統領の強権姿勢はすぐに緩むとも思えず、また中国・習主席も受けて立つ構えで「米中貿易戦争」の懸念の払拭は難しいように思える。6月のカレンダーは昨年12月に続く「3日新甫」でもあり、世界経済の混乱を織り込むように株式市場は調整を深めてもおかしくはなく、チャートの「二段下げ」突入の可能性も否定できない。

◆相場は流れに従うもの。日経平均株価が25日移動平均線(23日2万1712円)を突破するなど好転の兆しをみせるまで安易な楽観は慎みたい。

(5月23日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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