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【特集】大谷正之氏【10連休に向け錯綜する思惑、日経平均は上か下か】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―前週の反動で目先利益確定売りも下値では買いニーズ―

 週明け8日の東京市場は前週末の強い地合いを引き継ぎ、朝方は日経平均株価が高く始まったものの、その後は利益確定売りに値を消しマイナス圏に沈んだ。しかし、下値では押し目買いの動きが観測され、弱気ムードが台頭しているような印象も受けない。世界景気の減速懸念と株式市場はどう向き合っていくのか、また10連休に向けて市場心理はどのように変遷していくのか、現時点では読み切れない部分が多い。4月から5月にかけての相場展望と物色の方向性などについて先読みに定評のある市場関係者3人に意見を聞いた。

●「4月中の日経平均はもちあい推移を予想」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 5月半ばくらいまでの東京株式相場を展望した場合、市場参加者の最大の関心は、やはり10連休に前後して発表される20年3月期の企業業績見通しだ。特に、10連休入り前には主力ハイテク銘柄の決算と業績予想の発表が集中し、連休明け後の相場にも影響を与えそうだ。20年3月期の業績予想は、総じて保守的となる可能性が大きいが、アナリストの判断などを交えながら株価に織り込まれることになる。

 外部環境では、英国の欧州連合(EU)からの離脱問題や、米中貿易交渉の行方が株価に影響を与えることが想定される。米中貿易交渉については、既に何らかの合意に達するとの思惑が先行して株価が上昇している面もあるが、極端な決裂状態にならない限り、マイナス影響は軽微となりそうだ。ただ、10連休中の海外市場の急激な変動への警戒感もあるため、手控えムードのなか4月中の日経平均はもちあい状態となりそうだ。日経平均の上値は一時的に2万2000円台に乗せる可能性がある一方で、下値は2万1000円台前半の水準とみている。

 個別銘柄では、化学セクターのなかで、20年3月期の業績回復が見込める割安銘柄として三井化学 <4183> を挙げたい。同社は自動車軽量化に欠くことのできない素材を多く手掛けており、この分野での着実な数量成長が見込まれる。また、高屈折率眼鏡材料の好調も継続する。

 二つ目は、制御・自動化機器大手のアズビル <6845> に注目。主力のビル用制御機器が新築物件向けを牽引役として拡大している上に、ガス・水道メーターの安定的な増加も寄与することから20年3月期も6期連続の最高益更新が見込まれる。

 三つ目は、地方圏主体に戸建ての中古再生事業を全国展開し、高い利益成長を継続しているカチタス <8919> に注目したい。地方都市郊外などを中心に大量の空き家の存在が注目され、現在も年間60万戸ペースで増加している。同社は、地方都市を中心に中古の戸建てを買い取り再販するリノベーション販売を手掛けており、この空き家を活用したビジネスで継続的な成長が見込まれる。

(聞き手・冨田康夫)

 <プロフィール>(おおたに・まさゆき)

 1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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