【特集】馬渕治好氏【10連休に向け錯綜する思惑、日経平均は上か下か】(1) <相場観特集>
馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)
―前週の反動で目先利益確定売りも下値では買いニーズ―
週明け8日の東京市場は前週末の強い地合いを引き継ぎ、朝方は日経平均株価が高く始まったものの、その後は利益確定売りに値を消しマイナス圏に沈んだ。しかし、下値では押し目買いの動きが観測され、弱気ムードが台頭しているような印象も受けない。世界景気の減速懸念と株式市場はどう向き合っていくのか、また10連休に向けて市場心理はどのように変遷していくのか、現時点では読み切れない部分が多い。4月から5月にかけての相場展望と物色の方向性などについて先読みに定評のある市場関係者3人に意見を聞いた。
●「日経平均はGW前に2万1000円割れも」
馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)
東京株式市場は、前週は上値指向の強い週で日経平均が大きく水準を切り上げたが、きょうはその反動が顕在化する形となった。PMIなどの経済指標発表を受け中国景気に対する楽観が広がったことが前週の株価上昇の背景。しかし、やや行き過ぎに買われた感は否めない。米中貿易協議の進展を評価する動きも強まったが、多分に思惑先行の意味合いが強いとみている。
前週買われたセクターは海運、非鉄、機械株などまさに中国関連の一角で、投資家心理の改善を反映した。この流れを継いで、年初来高値更新を狙ってきょうの寄り付きに合わせ先物に投機筋の仕掛け的な買いが流入、全体はリスクオン相場継続を思わせたが、それに続く実需買いが伴わなかった。企業業績など実態面を考慮して、現物株に対する慎重な見方が広がっていることを暗示している。
米3月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びがコンセンサスを上回る一方、賃金伸び率は予測に届かなかったが、全体としては想定の範囲内。この結果に全体相場に方向性を見いだすインパクトはない。個人的には、きょうの“寄り天”形成となった日経平均2万1900円が当面の天井となってしまうことも十分にあり得ると考えている。ここから下値を試す動きに転じ、ゴールデンウィーク前に2万1000円ラインを割り込む可能性が高いのではないか。
したがって、個別株の投資戦略でも慎重な姿勢が求められる場面だ。行き過ぎに買われた主力輸出株は投資対象としては避けたいところ。内需株も小売セクターなどはこれから国内企業の決算発表が本格化するなか、下値リスクが意識される。短期スタンスで、中小型株を中心とした局地戦で対応するのが妥当であると思う。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「投資の鉄人」(共著、日本経済新聞出版社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。
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