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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 物色対象の変化に注目

株式評論家 植木靖男

「物色対象の変化に注目」

●米中株に同調できぬ日本株

 いつになく苛立ちを覚える相場である。世界の株式市場は、米国、中国という大国が、びっくりするほどの上昇をみせている。

 米国のNYダウにいたっては昨年10月の史上最高値にあと僅かと迫る勢いにある。中国の上海総合にしてもその回復ピッチの速さは異常なほど、1年前の水準に達している。

 だが、日本株は日経平均株価が3月4日終値の2万1822円(終値ベース)さえ未だ抜けずに悶々としている。

 現状、最大の材料は米中貿易協議であることに異論はないが、この協議が間もなく合意に達すると予測されている。

 となれば、米中の双方にとってまたとない好材料であることはいうまでもない。

 しかし、この材料は2ヵ国のみならず、世界的に好影響をもたらすものだ。日本にとっても好材料であるはず。

 では、なぜ日本株は米中株に同調しないのか。

 こうした際、考えられるのは二つ。一つは需給関係の悪化だ。確かに、ここへきて海外勢の売り圧力は大きい。

 もう一つは、わが国固有の潜在的な懸念材料があるケースだ。

 後者が、前者を誘発することもある。ひょっとしたら、間もなく始まるであろう日米通商協議を懸念しているのかもしれない。あるいは、世界経済が今後減速すると予想され、わが国でもその影響は避けられないが、そうした中、強行される消費税増税に警戒を強めているのかもしれない。

●ハイテク株復活の流れは続く

 ともあれ、米中株強調の中、しかも、ドル高・円安という恵まれた好環境にあるにもかかわらず、週末も50~60円が足りずに2万1822円奪回を逃してしまった。“僅か50円、されど50円”か。

 この分では、今後、3月4日の高値を上抜いたとしても、消耗し切ったいまの株価上昇エネルギーでは先行き多くを望めそうにない。

 ところで、物色の流れが大きく変わってきたようだ。これまで調整を続けてきたハイテク株が一転して上昇力を強めてきた。しかも、日米通商協議が懸念される中、自動車株もトヨタ自動車 <7203> を中心に回復をみせている。

 それには、次の理由が考えられよう。(1)信用取引の期日が到来しつつあり、整理が大幅に進捗してきた、(2)フィラデルフィア半導体指数が急上昇している、(3)他方で、内需株人気が限界に達しつつある、などだ。

 なかでも人気のあった電鉄医薬品株の退潮が著しい。一方で米国ハイテク株に先導され、東京エレクトロン <8035> 、ファナック <6954> 、安川電機 <6506> などが息を吹き返している。今後もこの流れに変化はなさそうだ。

 もっとも、全般市況が、12月安値から6ヵ月が経過する6月中下旬まで上値、下値は限定的となる。具体的にいえば2万0500円~2万2500円の前後のゾーン内での逆戻り相場となる可能性が大きいとみる。

 さて、今回は楽天 <4755> 、RS Technologies <3445> 、クラレ <3405> などに注目したい。

2019年4月5日 記

株探ニュース

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