【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「機関投資家買い、外国人売り」
株式評論家 富田隆弥
◆新元号が「令和」に決まった。若い世代が希望を咲かせ、活躍できる時代になることを切に願っている。4月新年度相場は新元号のご祝儀ムードも手伝い堅調に始まった。新年度となり年金など機関投資家のNEWマネーの流入効果もあるのだろう。さらに米中閣僚級交渉で合意観測が伝わり、米国株、中国株に加えコモディティ(商品・資源)も上昇、為替はドル高・円安で推移し、4月の世界マーケットは再び「リスクオン」ムードを高める格好のスタートとなった。
◆日本株は、中国の景気回復観測から機械、化学、海運が上げ、米国の半導体株指数SOXが3日に過去最高値を更新したこともあり半導体関連も相場上昇を牽引した。チャート的には、これらの業種はいずれも出遅れていただけに値動きが軽かったと言えるだろう。5G電波の割り当てを4月10日に控えて5G関連も物色され、また機関投資家のインデックス買いによりファーストリテイリング <9983> やキーエンス <6861> 、ファナック <6954> など値がさ株の上昇も目立つ。
◆日経平均株価は4日現在2万1787円高値をつけ、3月4日の年初来高値2万1860円に迫ってきた。 NYダウ(3日現在2万6218ドル)が昨年10月高値2万6951ドルに迫り、中国・上海株(4日現在3246ポイント)も昨年1月高値3587ポイントを視野に入れたことを踏まえると、日経平均の出遅れが目立つ。昨年10月高値は2万4448円で、12月安値1万8948円からはまだ半値戻し水準であるから、2万2000円台乗せから3分の2戻しの2万2614円水準を目指してもおかしくない。
◆ただし、日本株の重い動きには理由もある。景気は減速傾向となり、業績懸念が燻ぶり、そして今秋に消費増税を控える。外国人投資家の売買動向を見ると、3月第4週(3月25日~3月29日)は現物株を9週連続で売り越し、1月から11週連続で買い越していた先物を12週ぶりに売り越した。つまり、売買シェアで7割を占める外国人投資家は日本株を敬遠し、米国や中国にシフトしていることは否定できない。外国人投資家の先物売りが続くようだと注意も必要になってこよう。
◆そして、チャート面では日米とも昨年10月高値から6カ月を経過した。日経平均の高値は10月2日で、NYダウの高値は10月3日。いわゆる「高値期日」「期日向かい」という局面で、NYダウは高値に肩を並べようとしている。こうしたタイミングでNYダウが調整入りするならば外国人投資家は日本からのマネー引き揚げを加速しかねない。それだけにここからNYダウの調整には注意が必要だ。
◆材料株などが幅広く物色される流れは悪くないものの、新年度入りで好材料が重なったことを踏まえておく必要もある。個別株は小まめに利食いを交えながら対応していきたい。
(4月5日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース