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【特集】田部井美彦氏【日経平均2万1000円突破後に広がる景色】(2) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―米中貿易交渉に対する期待と不安、ここからの展望は―

 週明け18日の東京株式市場は日経平均株価が急反騰に転じた。前週(12~15日)は週を通じてみれば強い動きだったが、週末は利益確定売りに下落、結局2万1000円の大台を下回って着地した。しかし、きょうは米株高を素直に引き継ぐ形で広範囲に買いが及び、再び2万1000円台を大きく回復。米中貿易交渉を巡る思惑で右往左往する相場だが、米国株の強調展開は日本株の上値期待にもつながっている。2万1000円突破後の相場展開はどうなるのか、物色の方向性も合わせ、先読みに定評のある市場関係者に話を聞いた。

●「日経平均、年度内の上値は2万2000円台半ば目指す」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 きょう日経平均が前週末比381円高と大幅反発したのは、米中貿易交渉の進展期待を背景に、前週末の米株式市場でNYダウ平均株価が大幅高となった流れを引き継ぎ、東京株式市場でも幅広く買いが先行したためだ。香港、上海などのアジア株高も買い安心材料となり、東証1部の全33業種が上昇するほぼ全面高となった。

 ただ、米中貿易交渉の先行きには紆余曲折も想定されることから、今後3月の年度末にかけて一本調子の上昇は望めそうもない。日経平均の上値は昨年11月高値や12月高値前後の水準である2万2000円台半ばまでとなりそうだ。そこから上を買い上がるためには、新たなプラス材料が必要になる。下値は、米中貿易交渉の動向次第で2万円を割り込む可能性は否定できない。

 3月期決算企業の第3四半期(18年10-12月)の決算内容は、前年同期比で利益が減益に転じた。19年3月期通期や来期の20年3月期の業績見通しは楽観できない状態にある。来期の業績については、10月からの消費税率の引き上げを織り込んで、内需系企業の業績見通しが控え目な内容となりそうだ。

 個別銘柄では、プロジェクトマネジメント実行支援を柱としてコンサルタント事業を展開するマネジメントソリューションズ <7033> [東証M]に注目。企業のIT投資が活発化しているのに加え、投資家に対してより内容の充実したIR活動が求められるという環境の変化が同社の活躍場面を広げている。19年10月期の連結業績は、前期比で30%増収、同30%営業増益と大幅な増収増益を見込む。

 ソニー <6758> の現状の株価水準は魅力的だ。収益の柱であるゲームビジネスが好調なのに加え、IoT関連機器の普及を背景に、CCD及びCMOSイメージセンサーの需要が車載用などで拡大している。一方、同社は8日には自社株取得枠の設定を発表した。3000万株(発行済み株式数の2.36%)、1000億円を上限としており、取得期間は2月12日から3月22日まで。更に、電装化の進むなかで自動車向けに、主力の積層セラミックコンデンサーなど電子部品が好調で収益を押し上げている村田製作所 <6981> にも注目したい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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