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【特集】大塚竜太氏【日経平均2万1000円突破後に広がる景色】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―米中貿易交渉に対する期待と不安、ここからの展望は―

 週明け18日の東京株式市場は日経平均株価が急反騰に転じた。前週(12~15日)は週を通じてみれば強い動きだったが、週末は利益確定売りに下落、結局2万1000円の大台を下回って着地した。しかし、きょうは米株高を素直に引き継ぐ形で広範囲に買いが及び、再び2万1000円台を大きく回復。米中貿易交渉を巡る思惑で右往左往する相場だが、米国株の強調展開は日本株の上値期待にもつながっている。2万1000円突破後の相場展開はどうなるのか、物色の方向性も合わせ、先読みに定評のある市場関係者に話を聞いた。

●「投資マインド改善で2万1000円台固めへ」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 全体相場は日替わりで強気と弱気が入れ替わり、日経平均が大幅上昇しても投資家の疑心暗鬼は一朝一夕では拭い去ることができない状況ではある。しかし、それでも投資マインドは次第に温まりつつあるといえそうだ。懸案となっている米中貿易交渉は予断を許さないものの、徐々に合意の方向に向かっているとの見方が強まっている。60日間の交渉期限延長を「不透明感の継続」と見るか、「交渉決裂のリスク回避」とみるか難しいところだが、結局は株式市場の需給関係に委ねられている部分が大きく、現時点ではポジティブに解釈されている。

 米国景気は経済指標に多少のブレは生じているものの、基本的に強いことに変化はなく、何よりもNYダウの上昇がリスク選好の本流を形成していることは疑いがない。したがって、東京市場も国内は買い手掛かり材料に乏しくとも悲観に傾く局面ではない。国内企業業績を見る限り、一直線に上値を追うという形は想定しにくいものの、今は弱気筋の売りをこなしながら2万1000円台固めの段階にあると考えている。

 株価のボラテイリティが高いと二の足を踏んでしまうのが投資家心理というものだが、基本戦略としては、全体が大きく下がったら買い下がり、噴き上げたところは小まめに利益を確定するというのが現在の地合いに適したストラテジーといえる。当面、個人的には日経平均2万1000円~2万1800円のゾーンを想定しているが、ボックス下限と上限を常に意識して機動的な売買を心掛けたい。

 物色対象として注目されるのは、まず半導体関連。足もとの収益環境は向かい風が強いが、仮に1~3月期に業績底入れを果たすのであれば、株価は春先以降の回復を先取りする形で浮揚力が働く。外国為替市場でもユーロ安の流れを汲んでドル円相場が円安含みで推移しており、これを味方に半導体製造装置や半導体素材メーカーなどは順次株価の先行性を発揮する局面が近いと考えている。また、大手銀行や証券など金融関連セクターも出遅れ感が強く、リスクオフの巻き返しで見直し買いのタイミングにある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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