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【特集】クラウドサービスの新潮流、「SaaS関連株」上昇ステージへ<株探トップ特集>

企業のIT投資が加速するなか、今の時代はシステムを更新してもその投資負担に見合わず陳腐化してしまうなどのリスクがつきまとう。所有せずに利用するというコンセプトを背景に、ソフトウェアをクラウド上で課金制で使うSaaSの普及が進んでいる。

―業務効率化、働き方改革推進が普及に拍車、商機拡大の恩恵にあずかる銘柄は―

 多くの企業でいまやクラウドサービスは欠かすことのできない存在になっているが、そうしたなか、ソフトウェアをクラウド上で利用する「SaaS(サース:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」の普及が急速に進んでいる。

 同様のサービスとしてASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)などは以前から存在したものの、近年では「所有」から「利用」へといった考え方が企業に浸透したことで普及が進み、人手不足への対応や業務効率化、働き方改革推進などの流れが拍車をかけている。コスト面や利便性にも優れていることから、利用者は今後も増加が見込まれており、関連する銘柄のビジネスチャンスも更に増えそうだ。

●提供企業の安定収入に寄与

 そもそもSaaSとは、クラウドサービスの一種で、インターネットを介してソフトウェアの機能を利用する仕組みのこと。従来のソフトウェアは、パッケージ製品としてユーザーにライセンス販売し、ユーザーは自分のコンピューターにソフトウェアをインストールして使う形態が主流だった。

 一方、SaaSは所有ではなく利用状況に応じて料金を支払うようになっており、提供する企業側にとっては安定収入が見込めるといったメリットがある。例えば、WordやExcelで有名な「Microsoft Office」は従来のパッケージ販売も行っているが、「Microsoft Office 365」という月額課金制のクラウドサービスも提供しており、これもわかりやすいSaaSの一つだ。

●導入企業の85%が業務効率化効果を実感

 利用する側にとっても、初期投資を抑えられることや、複数の端末から同じアカウントでいつでも利用することができること、更新などシステムの保守をする必要がないなどのメリットがある。企業はパッケージからSaaSにシフトすることで人手不足へ対応することもでき、働き方改革推進の流れのなか、導入が加速している。

 また、業務効率化にも貢献しており、総務省の「平成29年通信利用動向調査」によると、クラウドサービスを利用する企業のうち、「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」とする企業の割合は、85%に達した。ただ、クラウドサービスの利用目的は「ファイル保管やデータ共有」が51%を占める一方で、「給与・財務会計・人事」の活用は27%に過ぎず、営業支援にいたっては14%と2割にも満たない。クラウドの活用領域にはまだ拡大余地があるといえる。

 クラウドサービス比較サイト「ボクシル」を運営するスマートキャンプ(東京都港区)が昨年8月に公開した「SaaS業界レポート2018」によると、ここ数年、SaaS市場は働き方改革やデジタルマーケティングなどをテーマとして年平均成長率約15%の勢いで急成長しているという。また、21年には16年の約2倍に当たる約5800億円へと拡大すると見込んでいる。

●ビジネス領域が好調なマネーフォワード

 更なる拡大が見込まれるSaaS市場だが、関連銘柄として注目したいのはまずマネーフォワード <3994> [東証M]だ。企業向けSaaS型サービスプラットフォームである「マネーフォワード クラウド」や家計簿アプリ「マネーフォワード ME」などを展開しており、特に後者は利用者数700万人を突破し、家計簿アプリ利用者の約4人に1人は同アプリを利用するなど最大手に成長した。1月15日に発表した19年11月期連結業績予想では、「マネーフォワード クラウド」シリーズなどビジネスドメインが牽引役となり、売上高は前期比55~65%増を予想している。

 また、昨年8月に上場し、勤怠管理や経費精算などの業務管理サービスをSaaSで提供するチームスピリット <4397> [東証M]は、導入企業数が1000社を超え、契約ライセンス数は16万1000に上る。足もとでは勤怠管理を通じて働き方改革を進める企業からの受注が増えており、1月11日に発表した第1四半期(9-11月)単独決算では、売上高が実質前年同期比45%増となった。

●ラクス、テクマトにも注目

 ラクス <3923> [東証M]は、SaaS型経費精算システム「楽楽精算」の導入社数が昨年11月末現在で3800社を超え、成長を牽引している。第2四半期累計(4-9月)連結決算では、売上高が前年同期比4割増となったほか、営業利益も同47%増となっており、19年3月期通期予想でも前期比34%増収、同11%営業増益を見込んでいる。

 また、会計・人事給与パッケージソフト「ZeeM」がシリーズ累計2000社以上の導入実績を誇るクレオ <9698> [JQ]は、17年11月からSaaS型月額利用モデルとなる「ZeeM on Azure」の提供を開始した。19年3月期はこれを含むソリューションサービス事業の成長が牽引役となり、前期比7%増収、同39%営業増益が見込まれている。

 このほかにもSaaS関連銘柄は多いが、なかでも画像などの医療情報を安全に保管・活用・共有できるサービスをSaaS型で提供する「NOBORI(のぼり)」の契約施設数が850施設(18年9月末現在)を数えるテクマトリックス <3762> や、SaaS型Webフィルタリング市場で導入実績トップを誇るデジタルアーツ <2326> に注目したい。

 更に、奉行シリーズのSaaS版「奉行クラウド」などを展開するオービックビジネスコンサルタント <4733> や幅広いクラウド製品を展開する日本オラクル <4716> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> 、日本ユニシス <8056> なども関連銘柄として挙げられよう。

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