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【特集】EMシステムズ Research Memo(1):医療と介護の情報連携サービスを提供できるオンリーワン企業として発展狙う

EMシステム <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

EMシステムズ<4820>は、薬局を中心とする医療機関向けに、医療業務処理用コンピュータシステムを開発・販売するITサービス企業。低い初期費用と月々の利用料支払という料金プランに基づいたストック型ビジネスモデルに業界内でいち早く転換したことで、薬局向けシステム市場において30%超の市場シェアを獲得し、リーディングカンパニーの地位を不動のものにしている。2019年3月期に完全ストック型・完全クラウド型への切り替えを図り、今後見込まれる業界変革に対応可能な強固なビジネスモデルに舵を切った。

1. 事業概要
薬局向けの医療業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行う調剤システム事業、診療所・クリニック向けの医療業務処理用コンピュータシステムや電子カルテシステムなどの開発・販売を行う医科システム事業、及びその他の事業を行っている。

調剤システム事業の主力製品は薬局向け医療業務処理用コンピュータシステム「Recepty NEXT」、及び「ぶんぎょうめいと」。医科システム事業の主力製品は医事会計システムの「MRNクラークスタイル」「ユニメディカル」、電子カルテシステムの「MRNカルテスタイル」「オルテア(Ortia)」。その他の事業については、介護サービス事業者支援システム「つながるケアNEXT」、薬局経営の事業、スポーツジム・保育園経営などの事業を展開している。

2. 2019年3月期第2四半期業績及び通期見通し
2019年3月期第2四半期業績は、医科セグメントの販売が好調であったこと、医科・調剤システムで課金収益が堅調に増加したこと、全社原価、経費の継続的コストダウンに取り組んだことで、前年同期は下回ったが、計画は上回った。売上高6,594百万円(前年同期比4.1%減、計画比3.1%増)、営業利益1,468百万円(前年同期比2.7%減、計画比23.8%増)、経常利益1,787百万円(前年同期比2.1%減、計画比19.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,197百万円(前年同期比1.4%減、計画比23.5%増)となった。

なお2019年3月期の通期見通しは、次世代システムの開発を続けることで製造原価が計画を下回り、加えてハードリプレイスの需要が高まる見込みのため、売上高13,146百万円(前期比5.8%減、期初予想比2.1%増)、営業利益2,362百万円(前期比 22.9%減、期初予想比56.6%増)、経常利益2,993百万円(前期比17.3%減、期初予想比40.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,020百万円(前期比14.7%減、期初予想比41.1%増)と、期初の予想を上方修正している。

3.中長期の成長戦略
同社は医療・介護業界の動向を見据え、永続的に発展成長する企業を目指し、2018年5月に新たに中期経営計画を発表した。2025年問題や超高齢社会に伴う薬価引き下げ、医療費全体の抑制の動きなど、同社の主要顧客である薬局については、今後より厳しい経営環境に巻き込まれる可能性が高い。このため、今までと同様の販売形態では難しいと判断し、一部ストック型ビジネスから完全ストック型ビジネスへの切替を含むビジネスモデルの大きな変更を行う。医療介護情報の連携、AIやビッグデータ活用による医療レベル向上支援、電子処方箋への対応、健康サポート薬局の支援機能の提供など、顧客の業務負荷と費用負担を下げるため、操作の簡素化・自動化とシステム費用の大幅削減に取り組む。加えて、2018年11月に発表した医科・調剤・介護の垣根を超えた業界初の共通情報システム基盤「MAPsシリーズ」により業界を席巻し、永続的な成長を狙う。

■Key Points
・2019年3月期第2四半期は前年同期比では減収減益も医科システム・課金売上が好調で計画比では増収増益
・2019年3月期通期見通しは完全ストック型ビジネスへの切り換えで一時的に落ち込むが、業績好調が見込まれ上方修正
・ビジネスモデルの変更に加え、医科・調剤・介護共通のアプリ基盤の構築により、業界内での絶対的な存在を狙う

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)

《SF》

 提供:フィスコ

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