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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米政府機関再開協議、米中対話動向、ファーストリテ・安川電など企業決算

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限21000-下限19000円

来週の日経平均は20000円を挟んだボラティリティの高い展開が予想される。波乱相場のきっかけを作った「アップル・ショック」や世界的な景気減速への警戒感など海外発の不透明要因を抱えて、引き続きNYダウや為替動向に左右されることになりそうだ。そのため、外部材料の落ち着きを待つ展開を強いられる。4日発表の米雇用統計が予想を上振れたことで米景気の減速懸念が後退、NYダウが急反発してシカゴ日経平均先物も20000円台に上昇しており、週初は戻りを試すことが予想される。次の焦点は、米通商代表部(USTR)のゲリッシュ次席代表ら代表団が1月7日から2日間の日程で北京を訪れ、中国との協議に入ることが予定されていることだ。米中貿易摩擦を緩和する動きが表面化すれば、短期的な急伸も想定される。ただ、中期的には米中協議期限の2月末までは警戒感の強い相場が予想され、米中の対話に一喜一憂する展開となりやすいなか、日経平均20000円を超えたところでは戻り売り圧力も強まりそうだ。

こうしたなか、景気動向に敏感になっている地合いで、個別企業の決算発表が物色動向に影響を与えてくることが予想される。主要企業では良品計画<7453>、イオン<8267>が9日、7&IHD<3382>、ファーストリテイリング<9983>や安川電機<6506>が10日の発表を予定している。なかでも、ファーストリテイリングの今8月期第1四半期(9-11月)決算はマーケット全般、安川電機の今2月期第3四半期(3-11月)決算は設備投資、中国関連にインパクトを与える。また、押し目買いを呼び込んで4日は高値引けの4日続伸と堅調推移の通信キャリア・ソフトバンク<9434>は、新規上場10日目にあたる1月8日大引けに海外機関投資家のベンチマークであるMSCIに早期採用となる。その後、1月30日大引けでTOPIX組入となるなど需給面での材料がある。ソフトバンクの株価上昇で投資家心理の好転に繋がる可能性もあるほか、大発会で急落スタートのマザーズ指数がバイオ関連銘柄がリードして反発に転じたことも注目される。


■為替市場見通し

来週のドル・円は弱含みか。世界経済の減速懸念が広がるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げシナリオ下方修正への思惑が広がっている。12月の米雇用統計は強い内容だったが、製造業関連の指標は悪化しており、リスク回避的なドル売り・円買いは継続する可能性がある。4日の米国株式は大幅反発となったが、株式相場が本格的に反転するとは言い切れないため、株安の局面で円買いを誘発する可能性もあろう。

昨年12月31日に発表された中国製造業PMIと1月2日発表の財新製造業PMI(中国)はいずれも景気判断の節目(好不調の節目)である50を割り込んだ。それを受け、世界経済の減速は鮮明となった。米FRBは12月18-19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の3カ月ぶり引き上げを決定した。同時に公表された2019年の金利見通しから、利上げペースは9月時点の3回から2回に引き下げた。12月FOMC会合の詳しい内容は9日公表の議事要旨で確認されるが、ハト派寄りの意見が多かった場合、利上げ打ち止めの思惑からドル売り再びが強まる可能性がありそうだ。12月の米消費者物価指数(CPI)など主要経済指標の発表も予定されており、それらの数字が低調だった場合、金融政策への影響を警戒してドル売りが優勢となる可能性がある。

なお、トランプ米大統領とペロシ米下院議長ら民主党指導部は4日、米政府機関の再開を巡り協議したが、争点となっているメキシコ国境の壁建設費用を巡って対立は続いており、政府機関のすみやかな再開は難しい状況となっている。トランプ大統領は国境の壁建設をめぐる予算獲得に関し、議会に譲歩しない方針を表明し、自身も壁建設に向け非常権限を行使する可能性を示唆した。政府機関の閉鎖が長引いた場合、株式市場に悪影響を及ぼす可能性があり、株安・ドル安の要因となることから、政府機関再開を巡る協議の行方を注視する必要がある。


■来週の注目スケジュール

1月7日(月):独製造業受注、ユーロ圏小売売上高、米製造業受注、米建設支出など
1月8日(火):世銀が世界経済見通し発表、米貿易収支など
1月9日(水):米FOMC議事要旨公表、シカゴなど複数米連銀総裁が講演など
1月10日(木):ファーストリテ・安川電決算、中生産者・消費者物価指数、ECB議事要旨など
1月11日(金):日国際収支、豪小売売上高、米財政収支など

《SK》

 提供:フィスコ

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