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【特集】新年3大テーマ (3) 2019年は“AI&バイオ”がマーケットを席巻する! <株探トップ特集>


―変わらない注目テーマと変わりゆく注目株、新時代の主役を追う―

【世界が目指すAIの最先端を映す鏡】

 世界的にスタートアップ企業やベンチャー企業への投資が加速している。その目玉になっているのはやはり人工知能(AI)である。グローバルなビジネス舞台において大資本企業がAI分野での主導権争いで鎬(しのぎ)を削っている。国際間ではAI大国の座を死守しようとする米国と、猛烈なキャッチアップを図る中国の間で熾烈な戦いが繰り広げられており、これが両国間の激しさを増すハイテク摩擦の底流にある。もちろん、欧州も負けてはいない。EUの執行機関である欧州委員会は域内のAI部門への投資を2020年までに200億ユーロに拡大する方針だ。世界的にAI関連企業への投資意欲が増幅されるなか、世界が目指すAIの最先端を映す鏡は株式市場にほかならない。

  ビッグデータの普及加速、そして IoT時代の本格到来を前にして、言うに及ばず東京市場でもAI技術の発展が相場の一大テーマとして浮上している。自動運転車やドローンなど、過去にはなかった新たな成長市場が立ち上がるほか、フィンテックなどの金融分野や顔認証などの生体認証、更に流通や農業など我々の生活に密接に関わる分野でもAIの存在はもはや不可欠となっている。また、データサイエンティストなど“AIを扱う”人材不足も顕著となっており、これらをビジネスチャンスとして取り込む有望企業に対するマーケットの視線は、一段と熱を帯びている状況だ。

●ソサイエティ5.0実現に意欲みせる安倍首相

 安倍晋三首相はAIの普及に際し、20年の東京五輪でAIを使った最先端の顔認証など新たな技術を導入することを、11月末のG20首脳会議の関連会議などで言及した。また、12月下旬に入って、安倍首相を議長とする国家戦略特区諮問会議では国家戦略特区制度「スーパーシティー構想」が議論されたが、これはAIやビッグデータを利用した街づくりを目指したもの。AIなどの最先端分野の実装すべき技術やサービスについて早急に検討する姿勢を明示している。更に、ほぼ同時期に開催された高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の会議でも、19年春をメドにAIなどを活用したスマート社会構想「ソサイエティ5.0」に向けたIT政策大綱をまとめ迅速に実行に移すことに安倍首相は意欲を示している。

 日本はこれまでAI分野では欧米や中国の後塵を拝していたが、「ソサイエティ5.0」では、生産性革命の中核エンジンとしてAI技術の促進が大前提となる。圧倒的に人材が不足しているデータサイエンティストの育成など越えるべき課題は多いが、それだけに国を挙げてAI社会到来を意識した布石を打つ必要に迫られているといってよい。

●ALBERTの大化けが新たなステージを示唆

 関連企業としては、まずソフトバンクグループ <9984> 。12月に入り強い逆風にさらされた感の強い同社だが、「ビジョン・ファンド」を通じたAIスタートアップ企業への投資で最重要ポジションにいることに変わりはない。また、ディープラーニングなどAI分野で強みを有し、ビッグデータ分析サービスなどを展開するALBERT <3906> [東証M]はトヨタ自動車 <7203> など大資本との連携で新境地を築いている。

 このALBERTと提携してデータサイエンティストの育成で連携するのがテクノプロ・ホールディングス <6028> で、今後存在感を高めそうだ。ディープラーニング分野の研究開発の草分けで、AIを活用したビッグデータ分析などアナリティクス事業で業界を先駆するブレインパッド <3655> 、人工知能エンジン「KIBIT」を活用したビッグデータ解析事業を強みとしているFRONTEO <2158> [東証M]、東京大学発のAIベンチャーで業務効率化のアルゴリズムモジュールとアルゴリズムソフトウエアを開発するPKSHA Technology <3993> [東証M]なども代表的な銘柄として要注目だ。

 また、スリープログループ <2375> [東証2]はIoT対応のAI搭載ロボットで、注文から手元に届いた後の対応まで一括サポートする「AI・IoTロボットフルフィルメントサービス」を提供している。ディープラーニングなどを使ったビッグデータ解析ツールを手掛けるホットリンク <3680> [東証M]や三菱系の経営コンサルティング会社で人工知能(AI)を活用したデジタルサービスで強みを有するシグマクシス <6088> も有力。このほか、エスユーエス <6554> [東証M]は開発系技術者派遣を主力に手掛けているが、大手企業の新卒採用試験向けに開発したAIマッチング採用管理ツール「SUZAKU」が注目されている。

【人間の生命を守るバイオは夢を買う相場】

 一方、次代を担うテクノロジーとしてはAI以外に人間の生命を守るバイオ関連分野も今後マーケットで脚光を浴びる銘柄が増えそうだ。18年10月に京都大学特別教授の本庶佑氏がノーベル医学生理学賞に選出、これに前後してバイオベンチャー株などに幅広く投資資金が流入したことは記憶に新しい。

 バイオ関連株はまさに「夢を買う」との形容が当てはまる。例えば今は赤字でもひとたび画期的な新薬が上市されれば、将来の爆発的な収益成長への期待につながっていく。

●投資家の夢を反映させたサンバイオ

 それを地で行く形で、株価変貌を遂げたバイオベンチャーといえばサンバイオ <4592> [東証M]だ。同社が開発を進めている脳梗塞や外傷性脳損傷による身体麻痺を治療する再生細胞薬「SB623」が株式市場でもスポットライトを浴びた。「SB623」は、脳内の神経組織に投与することで自然な再生機能を誘発し、その結果運動機能を回復させる効用が見込まれている。人間が本来有する潜在的な回復機能に働きかけるため、免疫抑制剤も必要としない。研究開発部門に米製薬会で実績を有する人材を確保して日米で鋭意開発中だが、その潜在的な市場規模は極めて大きく、これが16年1月期以降、同社が営業赤字を続けているにもかかわらず、株価急騰をもたらす背景となった。

 同社の収益黒字化は早くて4~5年後というのが大方の見方だが、それを承知のうえで株価は鮮烈な上値追い態勢に突入した。株価は動意前の10月30日の段階で3000円台前半だったが、そこからわずか1ヵ月あまり経過した12月4日には何と9880円の高値をつけている。市場関係者の間では「サンバイオ3倍」などと囃(はや)されたが、19年相場でも、引き続きその株価動向にマーケットの関心が集中しそうだ。

●iPS細胞と細胞医薬品にテーマ性

 バイオ関連株人気をつかさどるテーマは大きく2つに大別される。ひとつはサンバイオ人気の背景にもある“再生医療”だ。サンバイオが開発を手掛ける分野は、再生医療の中でも細胞を培養して医薬品として活用する細胞医薬品である。同分野の先駆では健康な人の骨髄から抽出した間葉系幹細胞を使った「テムセル」を既に上市済みのJCRファーマ <4552> が挙げられる。同社は13年3月期以降、増収増益を続ける黒字バイオベンチャーの優等生で市場の評価も高い。

 また、再生医療では京都大学教授の山中伸弥氏のノーベル生理学・医学賞受賞で沸いたiPS細胞の研究も国策的に進められている。京都大学が iPS細胞を用いて血小板の再生医療の臨床計画を国に提出したことが静かな話題となった。これは目の難病や心臓病、パーキンソン病などに続き、再生医療による治療の対象が血液にも広がりをみせてきたという点で大きな前進といえる。同分野の研究開発や製造で先駆するのは大日本住友製薬 <4506> 、そして同社と連携の厚いヘリオス <4593> [東証M]などがマークされる。また、医薬品会社ではないが、再生医療ビジネスに積極展開する富士フイルムホールディングス <4901> の存在も大きい。

●遺伝子治療は武田とアンジェスが導火線

 一方、再生医療以上に今のマーケットの視線を釘付けにしているテーマが“遺伝子治療”。これは武田薬品工業 <4502> によるアイルランドの製薬大手シャイアーの巨額買収で改めて注目度が高まった。大手製薬会社はグローバルな潮流として、ブロックバスター開発(大型の新薬開発)で成長を追求することが年々難しくなっている。そのなか、希少疾患領域への経営資源シフトが鮮明化しているが、その際基本となるのはM&Aだ。シャイアーは希少疾患領域での遺伝子治療で高実績を有しており、武田薬がやや無理をしてでも過去最高額の買収を決めた背景はここにある。

 また、遺伝子医薬品開発を手掛けるバイオベンチャー、アンジェス <4563> [東証M]も話題を提供した。同社が開発を進める重症虚血肢治療薬「コラテジェン」が早期承認見込みとなったことで、遺伝子治療は株式市場の投資テーマとして急速に認知度が高まった経緯がある。

 このほか遺伝子治療関連としては、Car-T療法を手掛けるタカラバイオ <4974> や遺伝子解析を手掛けるジーエヌアイグループ <2160> [東証M]なども目が離せない銘柄となりそうだ。

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