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【特集】「ガラパゴス」脱却、中古スマホ流通拍車で株高始動“7つの株”<株探トップ特集>

中古スマートフォン国内出荷実績は欧米と比較しても大きく後れを取っている。しかし、来年はSIMロックの解除義務付けなど総務省の後押しが利いて、中古スマホの市場が急速に広がる可能性が出ている。

―2019年、ガイドライン改正と個人情報ルール制定が市場拡大を加速させる―

 総務省は今年8月、「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を一部改正した。これに伴い2019年9月から通信事業者(キャリア)は中古のスマートフォンに関して、SIMロックの解除に応じることが義務付けられることになる。

 また、総務省では業界団体などと共同で、端末の状態に応じたランク付けやスマホに保存された個人情報・データを完全に消去することを保証するルールを制定することを検討している。これらにより、海外に比べて遅れているといわれる中古スマホの流通が進むとみられ、中古スマホ市場の拡大が加速しそうだ。

●中古スマホも「ガラパゴス」化

 MM総研(東京都港区)が17年10月に調査した「中古携帯端末の利用実態と市場規模」によると、16年度の中古フィーチャーフォン、中古スマホを合わせた中古携帯電話市場は前年度比1.1%増の191万台(うちスマホ158万台)で、17年度は前年度比7.9%増の206万台(同179万台)と推計。更に20年度には245万台(同231万台)に拡大すると予測している。

 今後の成長が見込まれる中古スマホ市場だが、電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によれば、17年度のスマホの国内出荷実績1185万台の15%程度に過ぎない。一方、英国の中古携帯端末市場は日本の約6倍、北米は約9倍あり(総務省「中古携帯端末市場の拡大に向けた考察」)、中古スマホに関しても、流通が活発な海外と大きく異なる「ガラパゴス」市場となっている。

●総務省が流通を後押し

 日本の中古スマホ市場が小規模であるのには、いくつか理由があるが、最も大きな問題となっているのがSIMロックに関するものといわれている。

 総務省は14年に「SIMロック解除に関するガイドライン」を改正し、15年5月以降に販売された端末については、契約者の求めに応じてSIMロックを解除できるようにした。ただ、キャリアと直接の契約関係を結ばずに購入された中古端末は、「契約者」ではなく「第三者」として扱われるため、ロックの解除を求めることができないのが現状で、これが中古スマホ流通の大きな足かせとなっている。また、修理や品質保証を行う事業者が少ないことや、個人情報の取り扱いなどに関するルールの整備が遅れていることも要因とされている。

 今回のガイドラインの改正や、個人情報に関するルール制定の動きは、市場拡大を阻んでいた要素を取り払うことにつながる。また、中古携帯通信端末の業界団体「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」は中古端末の品質を3段階にランク付けする指標を19年にスタートさせ、消費者に買いやすくする予定だ。「機能拡張で高額化するスマホ端末に対して、中古品は機能は劣るものの安価であることから、中古品へのニーズが高まることも期待できる」(中堅証券)との見方もあり、中古スマホ市場は19年以降、拡大が加速しそうだ。

●中古スマホ販売会社に注目

 市場拡大によりメリットを享受するのは、中古スマホを販売する企業だ。

 中古スマホ販売大手のゲオホールディングス <2681> は、14年からゲオショップ全店で中古スマホの取り扱いを開始しているほか、モバイル専門店「ゲオモバイル」で1店舗1000台以上の中古スマホを販売している。ゲオモバイルの18年9月末時点の店舗数は16店舗だったが、今後出店の加速を図る方針で、今後2年間で店舗数を倍増させるとの観測もある。

 日本テレホン <9425> [JQ]は、中古携帯電話の買い取り・販売サービスを提供するモバイルショップ「エコたんショップ」を全国に18店舗展開するとともに、Webサイト「エコたんJP」による通販を行っている。現在、同事業では在庫の長期保有による相場変動リスクの抑制や再生作業の効率化のため法人向け買い取り・販売に力を入れており、収益の安定化を図っている。

 マーケットエンタープライズ <3135> [東証M]は、 中古品を買い取るWebサイト「高く売れるドットコム」を展開。MVNO(仮想移動体通信事業者)子会社のMEモバイルの格安SIMと組み合わせることで事業拡大を図る。また、今年9月からWebメディア「iPhone格安SIM通信」内で中古スマホの相場比較サービスの運用を開始しており、注目されている。

 更に、中古スマホの買い取り・販売をWeb及び店舗で展開するパシフィックネット <3021> [東証2]や、ブックオフグループホールディングス <9278> 、子会社ソフマップが中古スマホ買い取り・販売を行うビックカメラ <3048> 、Webサイト「ネットオフ」で中古スマホの買い取りを行うリネットジャパングループ <3556> [東証M]なども市場拡大の恩恵を受けそうだ。

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