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【特集】USENNEX Research Memo(1):統合でグループシナジーを発揮、中期成長に結び付ける計画

USENHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は、音楽配信サービスを始め、店舗・施設運営のための支援ツールやソリューションといった商材やサービス、東京電力との業務提供にて提供する電力サービス「USENでんき」などを、傘下の子会社を通じて業務店など顧客に提供している。一方でコンシュマー向けには、定額制映像配信サービス「U-NEXT」の提供を行っている。一時(株)USENと(株)U-NEXTに分離していたが、2017年12月に再統合して現在の形態になった。統合の目的は、音楽や映像コンテンツ、ネットワークインフラ、顧客基盤といったグループ企業がそれぞれに持つ強みを、より高いレベルで相互活用、各社の販売チャネルを連携し主力商品をクロスセルすることで、グループシナジーを創出していくことにある。最終的に1顧客当たり売上高の最大化を目指している。また、高収益事業の音楽配信から店舗運営ソリューションやエネルギー、コンテンツ配信などの高成長事業へと、資金の還流をスムーズにすることも目的となっている。

事業セグメントは、店舗サービス事業、通信事業、業務用システム事業、コンテンツ配信事業、エネルギー事業、メディア事業の6つである。店舗サービス事業では、飲食店や小売店などに対して音楽配信サービスの提供、音楽著作権の管理業務のほか、IoT化など店舗経営のソリューションサービスを提供している。エネルギー事業やメディア事業では、そうした顧客に対し、電力やガスの販売、ヒトサラなどメディアによる集客支援サービスを行っている。通信事業では、施設向け通信回線や個人向けモバイル通信(MVNO)サービスを提供するのと併せて通信事業者が提供するインターネットサービス等の取次も行っている。業務用システム事業では、ホテルや病院、ゴルフ場などに自動精算機やフロント管理システムを提供している。また、コンテンツ配信事業では、個人向けに映像や電子書籍などデジタルコンテンツを配信している

2018年8月期の業績は、売上高107,932百万円、営業利益6,006百万円となった。8ヶ月決算のため前期比較はできないが、営業利益で期初計画比506百万円の超過達成となった。既存事業の強化を図るとともに、高成長事業と位置付けるエネルギー事業への取り組み強化や、店舗向けIoT商材・サービスによるアープアップを積極的に取り組んだことが奏功したと思われる。2019年8月期業績見通しについて、同社は売上高170,000百万円、営業利益8,000百万円を見込んでいる。営業利益が弱冠弱く見えるが、こちらは将来収益獲得のための営業販管費用を今期から投入していくためである。

安定高収益事業の業務店向け音楽配信事業を基盤に、映像配信事業とエネルギー事業、店舗向けIoT事業、業務用システム事業が同社の中期成長をけん引すると思われる。統合により資金の運用がより効率化されたため、全体最適を目指しつつ各事業の部分最適も図りやすくなったことも今後の成長要因と考える。事業成長へ向けた先行費用(投資)の発生や高成長低粗利事業の拡大による利益率の低下の可能性はあるが、営業利益規模は順調に成長拡大するだろう。2022年8月期には100億円を超える営業利益を期待したい。なお、中期経営計画について、同社は経営統合や新規事業の進捗を見ながら策定する考えのようだ。遠からず公表されることを期待する。

■Key Points
・U-NEXTとUSENの経営統合により、1顧客当たり売上高の最大化を狙う
・2019年8月期は統合のシナジー創出や高成長事業の準備で先行費用が発生
・安定高収益の音楽配信を基盤に、高成長事業へ資金を還流し成長を促進

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《HN》

 提供:フィスコ

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