【特集】桂畑誠治氏【駆け抜ける日経平均、2万4000円大台は通過点か】(1) <相場観特集>
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
―通商摩擦問題への警戒感、下値リスクに対する思惑は―
週明け25日の東京市場は、米国の通商摩擦問題への警戒感をよそに引き続き買い意欲の強い展開となり、日経平均株価は7日続伸と上値指向の強さを発揮。目先買われ過ぎの感は否めないものの、きょうは配当権利取り最終売買日に伴う買いが反映された。気がつけば日経平均2万4000円大台を指呼の間にとらえている。ここからの上値の可能性と下値リスク、さらに物色の方向性などについて第一線で活躍する市場関係者に意見を聞いた。
●「強調展開続き、年初来高値を通過点に一段高も」
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
東京株式市場は物色意欲の強い展開を続けているが、向こう1ヵ月でみた場合、日経平均は1月23日取引時間中につけた2万4129円の高値を通過点として2万4500円近辺をうかがう展開が想定される。米国との通商摩擦問題は楽観こそできないものの全体相場に与える下げ圧力は限定的とみられ、いったん調整局面に入っても下値は2万3500円程度がメドとなろう。
米国の対中追加関税第3弾が発表されたが、当初トランプ大統領が掲げた25%の関税引き上げは結局10%にとどまり、米国経済への影響に配慮したものとなった。破天荒で反発されることも多いトランプ大統領だが、自国の経済政策においてはアメリカ第一主義を忠実に貫き世論からも支持されている。
当面は日米貿易協議とその後の首脳会談を控え、この動向が注視されるが、日本側は米国の農作物やエネルギー、軍事装備品などの輸入拡大により対米貿易黒字を削減する方向を目指す構えにあり、最大の懸案事項となっている自動車の関税引き上げを回避するべく努力を続けている状況だ。自動車株はまだ上値が重いものの、関税引き上げが回避されれば折からのドル高・円安と相まって株価水準が切り上がる可能性がある。
25~26日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では利上げが確実視されているが、これについてはマーケットは織り込み済みで、FOMC参加者による来年の金融政策の見通しがどうなるかに市場関係者の注目が集まっている。また、会合後のパウエルFRB議長の会見では、全体相場にネガティブな印象を与えるような発言は出ないだろう。米司法副長官の解任が取り沙汰されるなか、ロシアゲート問題の絡みでこれがこじれた場合は共和党の支持を低下させ、米株式市場の波乱要因にならないとも言い切れないが、基本的に米国経済は好調であり、株価も上値指向を維持しそうだ。
東京市場も貿易摩擦問題の落としどころが依然として不透明ななか予断は許さないとはいえ、米株主導で日経平均は強調展開が続く公算が大きいとみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
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