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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米貿易摩擦、米アップル新製品発表、メジャーSQ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限22500-下限21750円

来週の日経平均は、調整色の濃い軟調な展開が予想される。7日に伝えられた米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの「トランプ大統領が貿易を巡って日本と争う可能性を示唆」という記事が相場の重しとして働いてきそうだ。日米貿易摩擦への警戒でドル・円は約2週間ぶりに一時110円前半の円高に向いたことも懸念材料の一つとなる。相場を下支えしている企業業績は円安効果も多分にあり、この円安効果のフレームが崩れると、日経平均も下値を試すことになりそうだ。台風と地震による天災の影響もじわりと企業業績を圧迫してこよう。すでに7日時点でTOPIXは7日続落と調整を強めて4月以降の安値となる8月16日の1667.95ポイントに接近している。7日から予定される米国とカナダのNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉に加えて、トランプ政権の中国製品2000億ドル(約22兆1000億円)相当への関税上乗せ計画はパブリックコメント募集が終了し発表する準備も整っている。米国を中心とする貿易摩擦問題に対して、相場は引き続き神経質にならざるを得ず、14日のメジャーSQを控えて先物に絡んだ売り仕掛け的な動きが出てくることも否定できない。7日に日経平均は22400円近辺を走る200日移動平均線を割り込むなど、テクニカル的にも厳しさが増している。

そんななかで、明るい材料はマザーズの動き。7日にマザーズ指数は3日続落となり一時、8月24日以来となる1000ポイント割れを見たものの大引けにかけて下げ幅を縮小させた。一時のような売り一辺倒ではなく、押し目買いも入り始めている。9月末割当の株式分割、配当、株主優待の権利取りに向けた動きも個別株の需給を引き締めてくる。12日の米アップルの新製品発表会、20日からは東京ゲームショウと個別株物色を刺激するイベントが控えていることも注目点。さらに来週17日以降は、月内に3連休が2週連続であるカレンダー事情を踏まえ、中小型の個別材料株物色に関心が高まりやすくなる条件が整っている。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、10日に4-6月期GDP改定値、7月国際収支、8月景気ウォッチャー調査、11日に8月マネーストック、7月第三次産業活動指数、12日に7-9月期法人企業景気予測調査、13日に8月国内企業物価指数、7月機械受注、8月都心オフィス空室率、8月首都圏新規マンション発売がそれぞれ発表され、14日はメジャーSQがある。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、10日に中国8月消費者物価・生産者物価、米7月消費者信用残高、トルコ4-6月期GDP、12日に米8月生産者物価、ベージュブック、13日に米8月消費者物価、米8月財政収支、ECB定例理事会(ドラギ総裁会見)、トルコ中銀金融政策決定会合、14日に中国8月鉱工業生産・小売売上高、米8月小売売上高、米8月輸出入物価、米8月鉱工業生産・設備稼働率、米7月企業在庫、米9月ミシガン大学消費者マインド指数が発表される。このほかのイベントとしては、10日に気象庁がエルニーニョ監視速報を発表、国際捕鯨委(IWC)総会本会合(14日まで)が開催、11日は東方経済フォーラム開催(13日まで、ウラジオストク)、米国同時多発テロから17年、12日は米アップル新製品発表会、13日は沖縄県知事選告示が予定されている。


■為替市場見通し

来週のドル・円は伸び悩みか。米中間の通商摩擦は激しさを増しており、新興国通貨安への警戒感は低下していないことから、リスク回避的なドル売り・円買いが増える可能性は残されている。米連邦準備制度理事会(FRB)による9月追加利上げは織り込み済みだが、米国金利の大幅な上昇について金融当局者から慎重な意見も出始めており、ドルの大幅高は想定しにくい。

北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る米国とカナダの協議の行方は注目されており、合意形成は困難との見方が広がった場合、米中貿易摩擦激化への思惑がさらに強まり、世界経済の減速も懸念される。また、トルコリラや南アフリカランドなど新興国通貨の不安定な値動きは引き続き警戒されており、新興国通貨に対してドルや日本円が買われるケースは今後も続く可能性がある。一方、8月米消費者物価指数や8月米小売売上高などの経済指標が市場予想に沿った内容だった場合、年4回の利上げシナリオ(年内2回の追加利上げ)が意識され、ドル買い材料になるとみられる。

ただ、セントルイス地区連銀のブラード総裁は5日の講演で、「金融引き締めは中立的な水準に達した」と主張した。8月の米雇用統計では平均時給が前年比+2.9%のやや高い伸びを記録しており、インフレ加速の可能性は残されているが、金融当局者がさらなる利上げについて慎重な見解を提示した場合、リスク選好的なドル買いを抑制する一因となる。今週発表されるインフレ関連の経済指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的なドル売りが増える可能性があるので注意したい。


■来週の注目スケジュール

9月10日(月):英商品貿易収支、米消費者信用残高、中マネーサプライなど
9月11日(火):日工作機械受注や英失業率など
9月12日(水):ユーロ圏鉱工業生産指数、印貿易収支、米生産者物価コア指数など
9月13日(木):東京オフィス空室率、トルコ中央銀行が政策金利発表、米消費者物価コア指数など
9月14日(金):中鉱工業生産指数、米設備稼働率、米企業在庫など
9月15日(土):米リーマン・ブラザーズ破綻から10年など

《SK》

 提供:フィスコ

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