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【特集】田部井美彦氏【立ちはだかる2万3000円の壁、突破はいつか】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―貿易摩擦問題と上海株動向などがもたらす影響度合い―

 名実ともに9月相場入りとなった週明け3日の東京株式市場は、売り圧力の強さが改めて意識された。貿易摩擦問題や中国株の動向などネガティブな余韻を引きずるなか、越えそうで越えられない日経平均株価2万3000円の壁。鉄壁のボックス上限ラインをブレークするのは果たしていつか。そして、注目しておくべき今のマーケットの急所はどこか。相場の分析や先読みに定評のある、市場関係者3人にここからの見通しを聞いた。

●「当面は日経平均2万3000円軸にしたもちあい相場」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 今週は、6日に迫った米政府の対中国への2000億ドル相当の追加関税に関する意見募集期限や、その後直ちに中国製品に対する追加関税を発動させるかどうか、さらにそれが株式市場に与える影響を見極めたいとの姿勢から模様眺めとなりそうだ。ただ、こうした米中貿易摩擦関連のイベントが経過して織り込まれるなかで、徐々に全体相場の値固めが進展していくことになりそうだ。

 国内的には、20日の自民党総裁選の投開票が終了すると、具体的な数字を伴った新たな経済政策や予算措置など、これまで不足していた国内発の株価支援材料が浮上してくることが想定される。さらに、9月半ば以降には、19年3月期第2四半期累計(4-9月)決算の輪郭を意識しながらの個別銘柄物色も活発化しそうだ。当面の日経平均は、2万3000円を軸にしたもちあい相場となりそうだ。ただ、2万2000円ラインは下値として固まったと判断しており、極端な下げ局面はなさそうだ。

 個別銘柄では、材料性豊富な中小型株に注目している。まず、航空券の予約サイト「スカイチケット」を運営するオンラインショップのアドベンチャー <6030> [東証M]に注目。18年6月期の連結営業収益は150億9300万円(前の期比2.8倍)と急拡大をみせた。19年6月期は、現時点で合理的に予測することが困難として、予想数値を公表していないものの、買収案件の本格寄与などにより大幅拡大する見通しだ。また、8月31日には、同社が運営する航空券予約販売サイト「スカイチケット」で、アマデウス(本社:スペイン)が提供するフライト検索提案エンジン「マスタープライサーインスタントサーチ」を日本で初めて導入したと発表した。アマデウスは世界の旅行業界へ先進のテクノロジーソリューションを提供するプロバイダー。

 さらに、コネクター大手の第一精工 <6640> にも注目。18年12月期通期業績で、上期(1-6月)はやや低迷したものの、下期(7-12月)の急回復が見込める。国内や中国のスマートフォン向けをはじめ、AIスピーカーロボットを制御する関節部分など幅広い用途でコネクターの需要が増加する見通しとなっている。また、3Dプリンター出力、鋳造、CTスキャンの3つの事業領域を展開しているJMC <5704> [東証M]も見逃せない。この3つに事業分野が相乗効果を発揮することで今後の成長が期待できそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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