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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米中貿易摩擦問題、米雇用統計、自民党総裁選告示

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限23000-下限22500円

来週の日経平均は模様眺めムードが強まり、もみ合いの展開が予想される。最大の焦点はやはり、米中を中心とする貿易摩擦問題だろう。対中2000億ドル分の追加関税に関するパブリックコメント期間終了を9月6日に控えて、米トランプ政権が具体的に関税発動を実施するかが相場の分岐点となりそうだ。発動されればアク抜け感よりも、関税引き上げによる企業業績への影響拡大が懸念されて、日経平均の下振れ要因に働く可能性がある。米朝関係に警戒感が再燃する中で、9日に北朝鮮建国記念日を控えていることも気掛かりだ。これを前に4日もしくは5日の大引け後とみられる日経平均225種構成銘柄の定期入れ替えの発表がある。8月24日時点の主体別売買動向で、海外投資家は現物を売り越す一方、先物は大きく買い越す動きを見せるなか、9月14日のメジャーSQを控えて先物に絡んだ一時的なボラティリティの高まりも想定される。7日発表の米国8月雇用統計(日本時間21時30分)を含めてイベントが重なることに加えて、週初3日は米国市場が休場となることから、積極的な上値追いは難しい状況にある。

ただ、8月31日に日経平均が朝安後に下げ幅を縮めるなど相場の基調自体は弱くない。9月7日の自民党総裁選告示(投開票は20日)を受けて、国内政治の安定期待が高まれば、海外投資家による日本株見直しも進むことが期待される。期初の1ドル=106円近辺から現状は111円近辺で推移する円安が大手輸出型の企業業績を支え、9月末期限の配当、株式分割、株主優待の各種権利取りの動きも働いてこよう。マザーズやJASDAQなど新興市場の復調ムードも、相場全体の中では鮮明になってきている。全般は弱含みながらも個別株物色は高まることが期待されよう。

主な国内経済関連スケジュールは、9月3日に4-6月期法人企業統計、8月新車販売台数、4日に8月マネタリーベース、日経平均定期入れ替えの発表(5日の場合も)、7日に7月家計調査、7月毎月勤労統計調査、7月景気動向指数が発表される。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、4日に米8月ISM製造業景況指数、米7月建設支出、5日に米7月貿易収支、6日に米8月ADP雇用統計、米7月製造業受注、米8月ISM非製造業景況指数、7日に米8月雇用統計、EU第2四半期実質GDP成長率、8日に中国8月貿易統計の発表がある。このほかのイベントとしては、3日はレーバーデーで米国市場が休場、中国アフリカ協力フォーラム北京サミット(4日まで)、6日に米政府、対中2000億ドル分の追加関税に関する意見募集期限、東方経済フォーラム(ウラジオストク、7日まで)、7日に自民党総裁選挙告示、8日に第75回ベネチア国際映画祭授賞式、9日に北朝鮮建国記念日70周年が予定されている。なお、重要な経済統計である米8月ISM非製造業景況指数は前回の55.7に対して市場の事前予想は56.8で、これを下回った場合は、米国の景気動向に対するネガティブな反応を相場が示す可能性がある。


■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い展開か。米連邦準備制度理事会(FRB)が9月25-26日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げをにらんで、米国経済指標を点検する展開となりそうだ。トランプ米大統領は、今週中にも2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる意向であり、米中貿易摩擦は激しさを増すと懸念されているが、米国とカナダの貿易協議は今週5日に再開されることから、米国、カナダ、メキシコの3国による貿易協定締結への期待は持続しており、リスク回避的なドル売りがただちに広がる状況ではないとみられる。

8月24日の米ジャクソンホールでの講演で、パウエルFRB議長は好調な経済を背景に目先の引き締めに積極的な姿勢を示した。8月29日に発表された4-6月期米国内総生産(GDP)改定値の堅調な内容はそうした見方が妥当であることを示唆しており、米国経済の成長鈍化を見込んだリスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。

新興国通貨安に対する市場の警戒感は残されているものの、国際通貨基金(IMF)は「アルゼンチンの経済プログラム強化に向け政府当局と緊密に協力している」と表明しており、IMFによる金融支援実施の環境がすみやかに整備された場合、トルコリラ、南アランドなどの新興国通貨安は一服するとの見方が出ていることは、リスク回避の円買いを抑制する一因となる。

7日に発表される8月雇用統計などの主要経済指標は、9月と12月の追加利上げに向けた有力な手がかりとみられる。雇用統計などの経済指標が予想とおおむね一致した場合、年内2回の追加利上げを想定してドルは底堅い動きとなる見通し。5日に再開される米国とカナダの貿易協議で合意形成への期待は持続していることもドル・円相場に対する支援材料となりそうだ。


■来週の注目スケジュール

9月3日(月):米シカゴ連銀総裁講演やトルコ消費者物価指数など
9月4日(火):豪経常収支や米ISM製造業景況指数など
9月5日(水):日サービス業PMI、米貿易収支、ユーロ圏総合PMI改定値など
9月6日(木):独製造業受注、米製造業受注、米ISM非製造業景況指数など
9月7日(金):ユーロ圏GDP確定値、米雇用統計、中外貨準備高など
9月8日(土):中貿易収支など

《SK》

 提供:フィスコ

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