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【特集】植木靖男氏【貿易摩擦問題に再び揺らぐ、日経平均は上か下か】(1) <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

―売買高減少で夏枯れ傾向、ボックス圏から抜け出すには―

 週明け6日の東京株式市場は市場エネルギーが減少傾向にあるなか、方向感の定まらない展開となった。米国トランプ政権の通商政策に対する警戒感が根強く、好決算発表銘柄でも発表直後は上昇しても、その後は戻り売りに伸び悩むケースが少なくない。8月から9月にかけて日経平均株価は上下どちらを指向するのか。それとも狭いボックスゾーンでのもみ合いが継続するのか。マーケットをよく知る経験豊富な市場関係者3人に、ここからの全体相場見通しと物色対象などについて聞いた。

●「日米貿易協議後に相場は上値指向へ」

植木靖男氏(株式評論家)

 目先の相場ははっきりしない動きが続いている。米国経済が好調でなおかつ米国株も上値指向の強い地合いを継続している以上、東京市場も下値に対するリスクが意識される相場ではない。しかし「相場は相場に聞け」という格言に倣えば、上値の重さは覆いがたく、投資家のセンチメントを強気に変えるような好材料も見当たらないだけに、しばらくは様子見ムードのボックス圏推移が続く公算が大きい。

 米中貿易摩擦が激化するとの懸念が上値を押さえている。以前にも指摘したように、米中間の通商問題は日本にとって必ずしもマイナスではなく、むしろ有利に働く可能性がある。とはいえそれは中期的な大局観であり、短期視野に立って日米間の貿易交渉が今後どのような進展を見せるかは注意深く見守る必要がある。その意味で8月9日にワシントンで予定される日米貿易協議の行方は要注目であり、この結果を見極めたいというニーズが今のマーケットには強い。

 日米貿易協議を通過した後は、仮に売買代金は盛り上がらなくても目先の不安心理の後退により売り圧力が減退し、全体相場は徐々に上値指向を明示していくと思う。今回の決算発表では一部内需系に弱い部分がみられるものの、主力輸出セクターは総じて好調で、日本企業のファンダメンタルズからみた今の株価水準は割安感がある。加えて、外国為替市場では日米金融政策スタンスの違いから、ドル買い・円売りの方向が予想され、ここから円安基調が強まった場合はさらにその割安感は強まる。

 日経平均は2万3000円ラインで頭打ちということはなく、円安基調が確認されれば、向こう1ヵ月間で今年1月高値水準を意識するレベル、つまり2万4000円近辺まで上昇してもおかしくないだろう。

 物色対象は好決算銘柄の押し目を狙うところ。例えば電子部品セクターではホシデン <6804> 。また、米FANG株復活の流れに連動するのはソフトバンクグループ <9984> だ。このほか、内需系では海外でも高水準の商品シェアを持つ花王 <4452> などに注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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