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【特集】藤代宏一氏【貿易摩擦問題に再び揺らぐ、日経平均は上か下か】(2) <相場観特集>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

―売買高減少で夏枯れ傾向、ボックス圏から抜け出すには―

 週明け6日の東京株式市場は市場エネルギーが減少傾向にあるなか、方向感の定まらない展開となった。米国トランプ政権の通商政策に対する警戒感が根強く、好決算発表銘柄でも発表直後は上昇しても、その後は戻り売りに伸び悩むケースが少なくない。8月から9月にかけて日経平均株価は上下どちらを指向するのか。それとも狭いボックスゾーンでのもみ合いが継続するのか。マーケットをよく知る経験豊富な市場関係者3人に、ここからの全体相場見通しと物色対象などについて聞いた。

●「米利上げ打ち止め議論の行方に注目、当面は横ばい相場」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

 東京株式市場は、当面横ばいでの推移を予想する。しばらくは目立ったイベントは少なく、動きにくい相場が予想される。日米通商協議の行方は注目されるものの、その内容を確かめながら相場に織り込む展開となりそうだ。

 今後の相場をみるうえでのポイントは、米国の利上げ打ち止め議論の行方だと思う。9月に加え12月の年内2回の利上げは既定路線とみられており、ドットチャートではFFレートは来年に3.25%までの利上げが示され、来年も3回程度行われる可能性がある。ただ、この水準まで利上げが行われると、それ相応の引き締め効果が出てくる。米国市場では短期金利が長期金利を上回る逆イールド状態が近づきつつあることが話題となっているが、これは金融市場が少し悲鳴を上げ始めている状態とも受け止めることができる。

 今後、米国で利上げ打ち止め議論が出てこないと、過度な引き締めにつながってしまう懸念がある。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げ見通しだが、そのなかで利上げ打ち止めに言及する人がどれだけ出てくるかに注目したい。

 今後1ヵ月程度の日経平均はレンジは2万1500~2万3500円前後で、足もとの2万3000円前後を中心とする一進一退を予想する。為替は、利上げ打ち止めの議論が出てきた場合、米金利の低下につながり、やや円高基調に振れる可能性があるとみている。レンジは1ドル=108~113円前後を想定している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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