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【市況】国内株式市場見通し:米中・米欧貿易摩擦の行方を見極め

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■日経平均は3週間ぶりに下落、NYは下げ一服

先週の日経平均は下落した。週間ベースでは3週ぶりの下げに転じた。トランプ政権が2000億ドル相当の中国からの輸入品に対して、新たに10%の関税を賦課する計画を明らかにし、貿易戦争への警戒感が強まった結果、21日にかけてNYダウは8日続落となった。20日にNASDAQが最高値を更新するなどしたものの、週後半にはイタリア政局不安を受けて欧州株の全面安、6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数や5月景気先行指数が予想を下振れるといった経済指標の悪化も加わり売り先行の地合いが継続した。米国株安と貿易摩擦拡大への懸念から日経平均も週初は続落で始まり、19日は前日比401.85円安の安値引けと全般に売りが先行した。話題となっていた19日のメルカリ<4385>IPOも相場全体への影響は限定的だった。20日から21日にかけては、先物のショートカバーや為替相場における円安傾向も加わって日経平均は続伸と下げに一時ブレーキが掛かったものの、22日は欧米株安、貿易摩擦の拡大懸念などから売りが先行して3日ぶりに反落となった。一方、22日のNYダウは原油相場の上昇を好感し、前日比119.19ドル高と9営業日ぶりに反発した。

■貿易摩擦の激化を警戒

今週の日経平均は落ち着きどころを探る展開となりそうだ。22日に下げ止まったNYダウは、今後もテクニカル的な反発も予想される一方で、買い材料に乏しい日経平均は調整が先行しよう。目下のところ、世界の株式市場にとって最大の懸念材料は、米中貿易摩擦の拡大だ。米国側の第1回対中制裁関税の発動は7月6日と時間的猶予がない。米中両国の政策当局者の発言に、今週の日経平均やNYダウが一喜一憂する展開となることが予想される。米国の追加関税が実際に発動されると、米国、中国ともに企業業績の悪化が予想され、その影響度は予想し難い。22日にはトランプ米大統領がツイッターで「EU内で組み立てられた輸入自動車全てに20%の関税を課す」と警告を発して米欧間の貿易摩擦も神経質な展開に入ってきている。

■日経平均に警戒シグナル

日経平均はテクニカル的な面でも警戒シグナルが点滅し始めている。ファーストリテイリング<9983>など日経平均寄与度の高い一部の値がさ株が日経平均を支えている結果、NT倍率は21日に多くの日経平均構成銘柄の入れ替えがあった2000年4月以降で最高となる12.96倍まで急上昇した(22日は12.90倍)。東証1部の年初来安値更新は日産<7201>など自動車や、セイコーHD<8050>などの精密、三菱UFJFG<8306>などメガバンクを始めとする金融株に広がり20日には今年最多の347銘柄(22日は226銘柄)に増加している。一方で、20日にTOPIXは5月30日の2番底である直近安値1731.28ポイント、マザーズ指数は4月17日につけた1082.23ポイントの年初来安値をそれぞれ更新している。こうしたことから、「日経平均の独歩高」の歪みが懸念される。22600円近辺を走る日経平均の25日線と5日線を割り込んだことで、22100円ラインにある75日線辺りまでの調整を想定しておく必要もありそうだ。ただ、米中の貿易摩擦の落とし所が見えてくる発言や動きがあれば、トレンドは好転するとみられる。

■5月鉱工業生産は29日に発表

今週の主な国内経済関連スケジュールは、25日に日銀政策委員会・金融政策決定会合の主な意見(6/14~15開催分)、26日に5月企業向けサービス価格指数、28日に5月百貨店・スーパー販売額、29日に5月失業率・有効求人倍率、6月東京都区部、5月鉱工業生産速報値、6月消費者態度指数・一般世帯、5月新設住宅着工戸数がそれぞれ発表される。なかでも、5月鉱工業生産速報値については市場の予想はマイナス1.1%である。一方、米国の経済関連スケジュールでは、25日に5月新築住宅販売、26日に6月消費者信頼感指数、27日に5月耐久財受注、28日に第1四半期GDP確報値、米新規失業保険申請件数、29日に5月個人所得・支出、6月ミシガン大消費者信頼感指数・確報値が発表される予定だ。このほかのイベントとしては、25日は朝鮮戦争勃発から68年、気象庁が3カ月予報を発表。25日から26日にかけてはアジアインフラ投資銀行(AIIB)年次会合が開催され、26日は米国連邦議会予備選挙(コロラド、メリーランド、ニューヨーク、オクラホマ、ユタ)、28日は香港で一帯一路サミット、ブリユッセルで29日までEU首脳会議が行われる。

《FA》

 提供:フィスコ

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