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【市況】米国株式市場見通し:貿易摩擦による先行き不透明感が広がる


米中通商関係の悪化が重しとなり、株式相場は引き続き不安定な値動きとなりそうだ。米国は、中国からの輸入品500億ドル相当のうち、340億ドル相当について7月6日より関税賦課を実施するとしているが、先週末時点で両国に交渉予定はなく、市場には不透明感が広がっている。トランプ政権は、30日に中国による米国へのテクノロジー関連投資の制限についても詳細を発表するが、中国側から何らかの報復措置が発表される可能性もあり、更なる関係悪化に注意が必要だ。

トランプ大統領は、欧州連合(EU)からの輸入自動車・自動車部品に対する20%の関税賦課を示唆しており、貿易戦争の新たな火種が燻りつつある。欧州委員会の試算によると、米国による関税賦課が実施された場合、3000億ドルの貿易に影響するほか、18万を超す雇用が失われる見通しだ。EUで報復措置が取られれば、自動車大手のGMやフォードなどの販売台数が落ち込む可能性があるものの、相対的に欧州への輸出割合の低い米国自動車メーカーへの影響は、欧州自動車メーカーと比較すれば軽微にとどまるだろう。

貿易戦争は最終的には米国側が勝利すると見る向きも多いが、不透明感が強く、更に事態がエスカレートするようだと株式相場にとってもマイナスの影響が出てくるだろう。

個別企業では、住宅建設会社のレナー(26日)、食品のゼネラル・ミルズ(27日)、ドラッグストアのライトエイド(27日)とウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(28日)、家庭用品小売のベッド・バス&ビヨンド(27日)、スポーツ用品のナイキ(28日)などの決算発表が予定されている。ナイキは新製品の開発・発売や、顧客のショッピング体験向上、在庫削減などの取り組みを受けて北米地域の業績が好転しており、18年後半には利益が回復するとの見通しを示しており、決算内容に注目が集まりそうだ。

経済指標関連では、5月新築住宅販売件数(25日)、6月消費者信頼感指数(26日)、5月耐久財受注(27日)、1-3月期GDP確定値(28日)、5月個人所得・支出(29日)、6月シカゴ(PMI)購買部協会景気指数(29日)などの発表が予定されている。5月消費者信頼感指数は、欧州の政治混乱や米中関係の悪化にも関わらず、3ヶ月ぶりの上昇となった。消費者は米経済の堅調さに自信を抱いており、今月も良好な内容が予想される。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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