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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「日米チグハグ指数、サマーラリーか、バカンスか?」

株式評論家 富田隆弥

◆米国では ナスダックが過去最高値を更新する一方で、 NYダウは8日続落(21日現在)。日本でも21日は日経平均株価が137円高と上昇する一方、 TOPIXは2.12ポイント安と下落した。このような指数のチグハグはあまり見たことがない。

◆米国の相場の中身を見ると一握りのIT関連、ハイテク株が上げ、金融株やオールドエコノミー株が冴えないことから、新時代を映したマーケットという論評も聞こえてくる。確かにフェイスブック、アマゾンドットコム、ネットフリックス、アップル、グーグルなどの株価動向は強い。だが、ナスダックのチャートは腰を大きく伸ばしており、「人気片寄ると裏目が…・」「木は天まで届かず」という格言が気になってくる。

◆日経平均は20日に2万2167円まで下落したが、200日移動平均線(2万1991円)や75日移動平均線(2万2085円)を割り込むことなく切り返し、21日は137円高の2万2693円引けとなり25日移動平均線(2万2612円)を抜いてきた。だが、TOPIXは19日(終値1743ポイント)に200日移動平均線と75日移動平均線を割り込み、21日現在その両線を抜けずにいる。

◆チグハグな日経平均とTOPIXだが、チャートはどちらも1月高値が君臨し、先月(5月21日)の戻り高値を抜けずにいる。日経平均は三角保ち合いを描くが、TOPIXは保ち合い下放れを示唆し、年初来安値銘柄が20日に347を数えるなどジワジワ値を崩す銘柄が増えている。こうなると相場全体の雰囲気はよろしくない。

◆日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は21日に12.96倍に拡大、2000年以降の最高を更新した。これが縮小するには日経平均が下げるか、TOPIXが上げるかのどちらかとなる。年末などボーナス時期には日経平均が上昇してNT倍率も拡大する傾向にあり、この6月もボーナス資金獲得を目指した証券業界の演出だとすると、先行き日経平均が調整する可能性もあるだろう。

◆ドルインデックスはドル高傾向が続き、東南アジアや南米の新興国マーケットは株も為替もおぼつかない。米中貿易戦争を懸念して上海株は安値を割り込んでいる。NYダウは8日続落であるからそろそろ反発してもおかしくないが、1月高値(2万6616ドル)を残して調整基調が続くのならば下値不安も燻ぶり続ける。ナスダックや大手IT銘柄などの強い流れは注目されるが、テクニカル面の過熱信号をどこまでも無視することはできまい。

◆夏相場はまもなく7月。サマーラリーとなるのか、それともバカンス入りとなるのか、熱くならずに冷静な見極めが必要だろう。

(6月21日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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