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【特集】山内俊哉氏【強調続く日経平均、“円安・株高”はどこまで?】(2) <相場観特集>

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

―重要日程控え、様子見ムードでも上がる株価の真相とは―

 6月第2週は重要スケジュールが目白押しで株式市場全般も様子見気分が強まりやすい。前週末の日経平均株価の調整はそうした思惑が絡んだものだったが、週明け11日は主力株をはじめ広範囲に買いが優勢となり、早々に切り返しに転じる強さをみせた。この流れを中期上昇波の初動とみるか、一時的なリバウンドとみるかは意見の分かれるところ。ベテラン市場関係者にここからの株式相場見通し(2人)のほか、相場のカギを握る為替動向(1人)について見解を聞いた。

●「米利上げでドル強含みも、各イベントは慎重な内容か」

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

 当面の為替相場は米金利動向が注目されるなか、ドル高基調を見込んでいる。今週は米朝首脳会談のほか、日米欧の中央銀行による金融政策決定会合が予定されている。今週の動向が、今後1ヵ月程度の相場の基調を決めそうだ。

 12日の米朝首脳会談は、北朝鮮による核放棄は段階的に進めることを表明する程度で終わるのではないか。トランプ米大統領は、11月の中間選挙に向けて実績が欲しいわけであり、友好的なムードが予想される。段階的な核放棄では、根本解決にはならないが、リスクオフの円高にもならないだろう。結局、米朝首脳会談を経て北朝鮮情勢は、しばらく静観となるかもしれない。

 12~13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は0.25%の利上げが実施されるだろうが、声明文は慎重さを示すものとなり、今後の金利見通しを示すドットチャートも年3~4回の利上げを示唆する微妙な結果となるかもしれない。米国の貿易や物価動向に不透明感が残るなか、積極的な姿勢は打ち出しにくいだろう。

 14日の欧州中央銀行(ECB)も「金融正常化に向けての議論を開始した」ことを示す程度にとどまるように思える。量的金融緩和(QE)終了に向けた具体的な内容は7月の理事会での発表となる可能性もある。

 14~15日の日銀金融政策決定会合は、現状維持だろう。

 今週の各イベントは慎重姿勢が目立つかもしれない。ただ、米国は0.25%利上げすることで、政策金利は1.75~2.00%となりニュージーランド(1.75%)を上回ることになる。このことは、ドル買い要因となるだろう。

 今後1ヵ月程度のドル円のレンジ相場は107円10~112円00銭前後でドル高・円安基調。ユーロ円は1ユーロ=126円60~133円40銭でユーロ高・円安。ユーロドルは1ユーロ=1.155~1.214ドル前後で若干のユーロ安を予想する。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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