【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ いま注目すべき中堅企業、投資家泣かせの優良株の“ワナ”
株式アドバイザー 北浜流一郎
「いま注目すべき中堅企業、投資家泣かせの優良株の“ワナ”」
●見切りに踏み切れぬ投資家心理
主要企業でも、なぜこんなに動きが悪いのか。こう思える銘柄がある。
業績に特に問題はなく、むしろ好調といえるほどであるのに株価は低空飛行を続け、思い出したように上昇することもあるが、それも長続きしない。
こんな銘柄に投資してしまうと、やっかいだ。日本を代表する企業で、しかも業績は好調、企業イメージも悪くない。こうなると簡単には手放せなくなるからだ。
これだけの会社なのだから、近々上がるだろう。こう思ってしまう。しかし、なかなかそうはならない。これでは資金が凍結されてしまい、身動きできず、投資意欲も減退していく。
要するに投資家泣かせの優良企業であり、この処理に困っている投資家が多くおられるのはお気の毒でもあり、残念でもある。
具体的な銘柄を挙げよう。キヤノン <7751> 、コマツ <6301> 、高島屋 <8233> 、三井不動産 <8801> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などだ。
それぞれ好悪の材料があるのは当然で、何かしらの切っ掛けで回復に転じることもあるだろうが、現状ではそんな気配は見えない。
なぜこんなことになっているのか。正直説明に窮する銘柄が多い。たとえばキヤノン。柱の複合機需要が世界的に落ち込んでいるとの見方もあるが、キヤノンは新製品投入で販売を伸ばしているし、一眼レフカメラも世界で販売好調だ。有機ELや半導体・露光装置なども同様であり、特に売り要因となるような材料は見当たらない。
それなのに株価が低迷を続けるのはなぜか。考えられるのは、優等生企業過ぎて投資家の投資マインドを刺激しない。こういうことになろう。
●低空飛行の優良株に求められるもの
では、株価上昇のために大型のM&Aを仕掛けたりするだろうか。もちろん、そんなことはしないだろうし、する必要もない。
しかし、株価はなかなか上がらないのだから、投資家としてはなにかしてほしいところだ。自社株買いをたびたび実行していることを考えると、今後もそれはあるだろうが、その効果があるのならば、いま頃株価は上昇しているはずだ。
そうなっていないのだから、別の道を探す必要がある。で、私が考える有効策は増配だ。すでに数期ごとに10円ほどの増配を行っていて、この点でも優等生ではある。
しかし、10円と決まった引き上げ幅ではなく、上げ幅を30円~50円にするのだ。とんでもないということになるかもしれないが、それにより株価が上昇、時価総額が増えるのならば十分勘定が合うはずだ。
他の低空飛行の優良株についても、それぞれ取り得る施策があるはず。優良企業はもっと株価の低迷に敏感であってほしいものだ。
そこで、ここでの注目銘柄は、経営者が株価の動向を意識した経営を行いやすい中堅企業の中から次のような銘柄を挙げたい。
まずは銀行、流通業界向けシステム開発に強いキューブシステム <2335> だ。フィンテック関連株と見ることもできるだけに、小反落は見逃さないようにしたい。
このところやや軟調ながら段ボール 最大手のレンゴー <3941> は、この調整局面で拾っておきたい。段ボール収集業者にいわせると、いまは回収がやや落ち込んでいるそうだが(わが家の前のゴミ収集を請け負っている業者)、段ボール需要が宅配便の増加とともに増え続けていることを考えると、株は引き続き騰勢を保つだろう。
すでに取り上げたが、油脂に強い不二製油グループ本社 <2607> も新値に進んだばかりながら、なお騰勢に衰えはないと見る。何しろ大豆関連製品に強い。いまは炭水化物よりタンパク質。動物性のそれには抵抗がある人も多いが、そのような人でも大豆タンパクなら…となる。
ただ、肉や魚のタンパク質摂取が少ないわけではない。特に肉は牛、豚、鳥と増加を続けているため、食肉卸首位のスターゼン <8043> も着実高が見込める。
「東芝 <6502> [東証2]を買ってもよいか?」――最近こんなご相談を受けることが多いが、私は同社株より関連株の方が安定性が高く、成果も上がりやすいという考えだ。
具体的には東芝プラントシステム <1983> がある。この会社は発電所プラントの据え付けを得意としており、発電所の保守にも強い。この業務は安定収益源となるため株も期待が持てる。
最後に私の好きな銘柄のレック <7874> を。台所用品などの製造販売会社であり、特に「激落ちくん」がよく知られている(わが家でも使っている)。そして、もう一つ注目なのは、この会社の永守貴樹社長は、あの日本電産 <6594> の永守重信会長の子息であることだ。
2018年6月8日 記
株探ニュース