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【経済】NYの視点:円、再び売り持ち:今週の注目:米雇用統計、ベージュブック、米Q1GDP、ISM


短期投機家・投資家の円の持ち高は買い持ちから売り持ちに再び転じた。ユーロの買い持ち高は減少したものの依然、過去最高水準付近にとどまっており、引き続きユーロの上昇は困難と考える。

米中貿易協議、NAFTA再交渉協議の行方や米朝首脳会談の行方に引き続き注目が集まる。また、米国の金融政策の鍵を握る最新5月の雇用統計や、全米の製造業活動の動向を示す5月ISM製造業、1-3月期国内総生産(GDP)、次回6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の材料となるベージュブック(地区連銀経済報告)の結果に注目が集まる。

米国の金利先物市場で6月の追加利上げ確率は100%と、ほぼ織り込み済み。ベージュブックの中で、全米の経済が引き続き緩やかに成長し、インフレの圧力が見られ、雇用統計で雇用の順調な伸びが確認されると、追加利上げが正当化される。雇用統計では引き続き賃金に焦点が集まる。

米中貿易協議では、合意が困難な状況となり、トランプ大統領は方針の修正を強いられた。ロス商務長官は米朝会談が開催されると見られていた12日以前、6月2-4日に通商協議のために中国を訪問する。北大西洋自由貿易地域(NAFTA)再交渉協議も暗礁に乗り上げている模様で、7月1日までに合意できる確率は40%だという。

トランプ米大統領が言及したとおり、北朝鮮は中国の習国家主席との2回目の会合後、態度を急変。「リビア式核放棄を示唆した」とペンス副大統領やボルトン米国家安全保障担当大統領補佐官を、名指しで批判。これを受け、トランプ大統領は北朝鮮側が示した最近の「怒りとあからさまな敵意」を理由に、「この時期に開催するのは適切ではない」と首脳会談を中止する意向を伝えた。会談を前に予定されていた先々週の会合に、北朝鮮のチームが姿を現さなかったことも、中止を決定した理由と見られている。しかし、トランプ大統領の書簡を受け、北朝鮮が態度を軟化。北朝鮮側は依然、米朝首脳会談を望んでいる意向を示した。米国は北朝鮮との対話を再開、首脳会談の道も完全に断たれたわけではない。

同時に、トランプ政権は中国の中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)と合意にいたり、制裁が解除される可能性が強まったことも、米朝会談の実現を可能にすると見る。米国商務省は4月に、イランや北朝鮮に違法輸出していたとしてZTEに対し、米国製半導体・部品の購入を7年間禁止する措置を下した。

米朝会談は直前までどちらに転ぶかわからず、リスクは存続するため、乱高下が続くと見る。

■今週の主な注目イベント

●31日‐6月4日G7財務相・中央銀行会合

●米国
29日:ブラード・セントルイス連銀総裁が東京で講演、
ロス米商務長官がOECDで講演
30日:ベージュブック、
1-3月期GDP改定値:前期比年率予想+2.3%(速報+2.3%)、
ボルカールールの修正に関して協議
31日:4月PCEコア:予想前年比+1.8%(3月+1.9%)、
ブラード・セントルイス連銀総裁が討論会に参加、
ボスティック米アトランタ連銀総裁オーランドで質疑応答、
ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事が経済、
金融政策に関して講演、カプラン米ダラス連銀総裁が講演
6月
1日:5月雇用統計:失業率予想3.9%(4月3.9%)
非農業部門雇用者数:予想+19万(4月+16.4万)、
平均時給:予想前年比+2.6%(4月+2.6%)、
5月ISM製造業指数:58.1(57.3)カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が講演

●地政学的リスク
北朝鮮
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン

《CS》

 提供:フィスコ

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