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【市況】すぐ始めたい人のための「先物取引入門」(4)商品先物取引での注文方法(馬渕磨理子)


こんにちは!フィスコマーケットレポーターの馬渕磨理子です。

3回までの連載では、すぐ始めたい人のために、商品先物取引は意外と少額から始められるということや、決済期限のない取引もあるということ、商品先物取引をしているのはどんな人なのか、をお伝えしてきました。今回は、『商品先物取引の注文方法』に焦点を当ててお伝えさせていただきます。

商品先物価格は、TOCOMこと東京商品取引所を始めとした商品取引所で決まります。私たちが見ている商品価格は、商品取引所で売りと買いがマッチし、取引が成立(「約定する」といいます)した最新の価格なのです。売買する際は、商品と限月、「買い」か「売り」かを選び、枚数を決めます。注文方法には主に次のものがありますので、1つずつ見ていきましょう。

■「注文の種類」
価格を指定して発注する『指値(さしね)注文』では、売り注文であれば指定した価格以上で約定します。買い注文であれば指定価格以下で約定します。また、価格を指定しない『成行(なりゆき)注文』があります。価格を指定せず約定を優先させるため、成行注文は指値注文に比べて約定しやすいというメリットがあります。ただ、価格の変動が激しい時や取引量が少ない時は、想定していたよりも高い・安い価格で約定してしまうこともあります。他の注文方法もご紹介します。『対当値段条件付注文』は、値段を指定しない売買注文で、発注した数量のうち約定しなかった注文は約定した値段の指値注文として登録される売買注文です。『スタンダード・コンビネーション注文(SCO注文)』は、『さや取引』をする際に便利な注文方法です。さや取引とは、同一商品の異なる限月(または異なる商品の同一限月)の価格差を利用した取引です。こちらの詳しい内容は、次回以降の連載にてお届けいたしますが、さや取引では、簡単に言えば、割安と思われる限月を買い、割高と思われる限月を売ることにより利益(利ざや)を狙うことが目的です。

■便利なSTOP注文の活用
株式市場では、皆さんがよく利用する注文方法で、『逆指値注文』があります。逆指値注文とは、現在の値段よりも「不利な値段」に到達した段階で発注する注文のことです。先物取引では、これに似た注文方法として、「STOP注文(ストップ+マーケットオーダー)」があります。STOP注文は、ある価格以下になったら売る、または、ある価格以上になったら買う、といった売買注文を出すことができる注文です。逆指値注文と異なっており、条件に達した場合の注文での指値はできません。その時の注文状況次第で、指定した値段と同じ値段で成立することもあれば、有利な値段で成立、不利な値段成立、また成立しない場合もあります。

■ロスカットを防ぐためのSTOP注文の役割
例えば、原油価格(プラッツドバイ原油価格)は5月17日に、2015年5月以来、約3年ぶりの高値である51,040円(2018年10限月)で取引を終えました。OPECを含む産油国の減産への取り組みや、旺盛な需要を背景に原油の在庫は減少が続いています。それに伴い、原油価格も回復してきています。しかし、ここからの上値は重い展開を予想する意見もあります。原油価格は2014年の秋以降、急落していましたので、買いポジションを保有している投資家も多いです。その場合、買いポジションで現在得ている利益を、今後、値下がりによる損失で減らしてしまうのを抑えたいと思いますよね。そこで、利益を確保できる価格の範囲であらかじめ売りの決済注文(ポジションを手仕舞う際の注文)を発注しておく、という投資アイデアです。値段が指定水準に到達した時点で、売りの成行注文が市場に出されます。成行注文ですので、市場の状況により指定した通りの値段で決済注文が約定することもあれば、指定した値段から前後して約定する場合もあります。

■レンジブレイクでの新規ポジション保有
STOP注文は損失の拡大を防ぐ『ロスカット』の役割を持たせた注文ですが、レンジブレイク(価格が想定レンジを外れるようなケース)の際にも有効に利用できます。一定のレンジ(範囲)での推移(ボックス相場とも言います)を続けていた相場は、いずれレンジをブレイクして、上または下に放たれます。レンジブレイクすると、その方向へと値段が大きく動いていくことが多く見られます。原油価格は、2016年の秋から2017年の秋の約1年間、55ドルを上値抵抗帯として推移していました。その時点でも、70ドル台までの回復の予想は多くありました。そこで、レンジ相場の上限よりも高い値段(55ドル以上の値段)で新規の買い注文を設定しておくことで、値段がレンジの上限を上抜けた段階でSTOP注文により買いのポジションを保有することができます。

このように、STOP注文をうまく利用することで、損失の限定や利益の拡大につなげることが可能になりますので取引の参考にしてみて下さいね。

“すぐ始めたい人のための「先物取引入門」”は、商品先物取引の基礎をフィスコの見解でコメントしています。

フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子

《FA》

 提供:フィスコ

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