【市況】米国株式市場見通し:複数の小売決算が発表予定
今週は中国の副首相が訪米を予定しており、貿易摩擦問題を巡る交渉の行方に注目が集まりそうだ。中国当局は対米貿易黒字削減に向けて米国側と協力する姿勢を示しているものの、2020年末までに2000億ドルを削減するとの米国側の要求には同意していない。中国側が米国からの輸入拡大でどの程度譲歩するかに注目したい。また、14日には在イスラエル米大使館のエルサレム移転が予定されており、抗議行動の発生など地政学リスクが拡大する恐れもある。
個別企業では、ホームセンターのホーム・デポ(15日)、百貨店のメーシーズ(16日)やJCペニー(17日)、小売最大手のウォルマート(17日)の小売各社の決算発表が予定されている。その他では、ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ(16日)、半導体のアプライド・マテリアルズ(17日)、農業機械のディア(18日)、食品会社のキャンベルスープ(18日)などの発表が予定されている。メーシーズやJCペニーの11-1月期決算は、米景気拡大や税制改革の実現が年末商戦期と重なり好調だったが、2-4月期決算ではその流れが一過性ではないか注目したい。
11日時点のファクトセット社の集計によると、S&P500構成銘柄の91%が第1四半期決算発表を終了し、78%が利益、77%が売上高のアナリスト予想を上回った。全体では、3月末時点で17.1%の増益が予想されていたが、24.9%の増益見通しへと大きく改善した。2010年第3四半期以来の利益成長となるが、原油相場の上昇を受けてエネルギーセクターが大幅成長となったことが寄与した。
今週の経済指標は、5月NY連銀製造業景気指数(15日)、4月小売売上高(15日)、5月NAHB住宅市場指数(15日)、4月住宅着工・建設許可件数(16日)、4月景気先行指数(17日)などの発表が予定されている。住宅関連指標の中でも先行性を持つとされるNAHB住宅市場指数は、金利上昇の影響もあって4月時点で4ヵ月連続の低下となった。向こう6カ月の販売見通しも鈍化したものの、5月は前月比横ばいが予想されており、注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ