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【特集】勝ち続ける小売り この「最高益更新銘柄」に熱視線 <株探トップ特集>

大手企業の特権、海外を主戦場に業績を飛躍させる企業も。

―海外展開、合理化努力、EC展開で手にする利益成長への切符―

 3月期決算企業は決算発表のピークを迎えつつあるが、一足先に決算を概ね終えた業種がある。

 2月期決算の多い小売業界では、インバウンド需要の好調継続による好環境を享受する企業がある一方、昨年10月の台風の影響や、今年1、2月の大雪の影響を受けて、多くの企業で客数が減少し売上高に響いた。また、人手不足に伴うパートやアルバイトの時給上昇が利益を圧迫しており、厳しい環境下に置かれている企業も多い。

 日本経済新聞でも4月17日付で、「継続してさかのぼれる64社の純利益は6461億円と前の期比で28%増えた」とする一方、「社数でみると増益は5割の33社にとどまった」としており、跛行色が鮮明になっている。18年2月期決算でも、J.フロント リテイリング <3086> や高島屋 <8233> など百貨店はインバウンド需要や高額消費需要を取り込み増益となった企業が多い一方、ライフコーポレーション <8194> など食品スーパーのなかには減益となったものが目立つ。

 そこで小売業界のなかで、好決算を続ける「勝ち組」銘柄に注目したい。

●7&iHDは海外展開で勝ち組へ

 好業績を続ける企業には、大手が多い。例えばセブン&アイ・ホールディングス <3382> の18年2月期は営業利益が3916億5700万円(前の期比7.4%増)と7期連続で最高益を更新した。営業利益の約2割を稼ぐ海外コンビニエンスストア事業で、ファストフードの売れ行きが良く、ガソリン販売も伸長したことが貢献した。19年2月期は営業利益4150億円(前期比6.0%増)を見込むが、今年1月に米スノコLP社から取得した1030店が収益を押し上げる予定だ。

 また、良品計画 <7453> の18年2月期の営業利益は452億8600万円(前の期比18.3%増)となり、5期連続で最高益を更新した。国内で一部商品を値下げした効果や厳冬で冬物衣料の販売が好調だったことが寄与。また、売上高の約4割を占める海外の収益が持ち直しており、特に中国、欧州で売り上げが伸長した。19年2月期も同500億円(前期比10.4%増)と連続最高益更新を見込んでいるが、中国をはじめとする東アジアが牽引役となる見込みだ。

 さらに、2月決算ではないものの、ファーストリテイリング <9983> の第2四半期累計(17年9月-18年2月)決算は、営業利益が1704億9200万円(前の期比30.5%増)となったが、半期の売上高では海外ユニクロ事業が国内事業を初めて上回ったことが注目された。積極出店の続く中国をはじめ韓国や台湾、タイ、マレーシア、インドネシアなどの販売が伸びた。

●ニトリはコストコントロールで最高益更新

 これらの企業に共通しているのは、海外展開による収益の拡大だ。国内では個人消費が横ばいで推移していることから、今後も売上高の大幅な伸長は難しいとの見方が強く、いち早く海外に活路を見出した大手企業が先行者メリットを生かしている。ただ、海外展開をしようにも先行投資が必要であり、これを実行できるだけの体力がある大手が相対的に優位となる。

 一方、これ以外にも厳しい環境のなかで好決算が光る銘柄もある。

 ニトリホールディングス <9843> はコストコントロールで最高益更新を見込む。18年2月期決算は、営業利益が933億7800万円(同8.9%増)で着地し、連続最高益を更新したが、従来予想の990億円を下回った。人件費や物流費が増加したほか、店舗改装費用が膨み利益を圧迫した。

 このため、同社では、昨年12月に物流施設へ無人配送ロボットの「バトラー」とデバニングアシストマシーンの「エルデバン」を導入し、物流過程でのコストコントロールに取り組んでいる。また、物流網や発注・在庫管理システムの再構築なども実施する。前述の改装効果やPB(プライベートブランド)商品の拡充効果も期待でき、19年2月期営業利益は990億円(前期比6.0%増)を見込んでいる。

●TOKYO BASEはEC出店強化で成長

 また、3月期決算企業だがネット通販で強みを発揮し好決算となったのがスタートトゥデイ <3092> だ。「ZOZOTOWN」事業の年間購入者数は2月末で722万人となり、直近3年間でほぼ倍増となった。18年3月期の同事業の商品取扱高は2629億円(前の期比28.3%増)となり、これを受け営業利益も326億6900万円(同24.3%増)と連続最高益を更新した。

 19年3月期も引き続き商品取扱高が拡大するほか、同社が開発した体型計測デバイス「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で計測したデータから、顧客の体型に合わせたアイテムをオーダーメイド方式で製造し販売するPB事業の貢献も期待でき、営業利益400億円(前期比22.4%増)の見通しだ。

 さらに、TOKYO BASE <3415> は、18年2月期から有力ブランドの商品を取り扱う店舗を、ZOZOTOWNにフランチャイズ形態で出店開始。これが奏功し営業利益は15億7400万円(前の期比22.0%増)となった。今期も引き続きEC出店を強化してEC化率を過去最高の42%とする見込みで、同20億2900万円(前期比28.9%増)と連続最高益更新を見込む。

 このほか、エービーシー・マート <2670> では、「アスレジャー」と呼ばれるスポーツファッションがトレンドであることから、スニーカーを中心としたカジュアル志向のスポーツシューズの需要が拡大し、一時期落ち込んでいた既存店売上高が回復基調にある。18年2月期営業利益は433億8600万円(前の期比3.6%増)と連続最高益を更新。19年2月期もこの基調が続くほか、スポーツアパレル導入店舗拡大効果もあり、今期は同439億円(前期比1.2%増)を見込んでいる。

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