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【特集】米金利「3%突破」で金に下落懸念、“株安懸念”のヘッジ買いも焦点 <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行
―ドル高進行で軟調推移、金価格の行方を読む―

 はドル高を受けて軟調に推移し、1,300~1,365ドルのレンジ下限を試す動きとなった。米国債の増発懸念や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しを受けて米10年債利回りが3.035%まで上昇し、2014年1月以来の高水準となった。その後は利回り上昇が一服して3%を下回ったが、今週は米連邦公開市場委員会(FOMC、2日まで)や4月の米雇用統計の発表(4日)などがあり、レンジ下限を維持できるかどうかの分岐点になりそうだ。また、ムニューシン米財務長官の訪中も予定(3~4日)されており、貿易摩擦が回避できるかどうかも焦点である。さらに来週末は米国がイランの核合意見直しの判断期限としている。米国がイラン核合意から離脱すると、原油が一段高となり、インフレ要因となる可能性もある。ここでは当面の金を取り巻く材料を確認する。

●金はドル高が圧迫要因も株安懸念でETFにヘッジ買い

 金は米国債の利回り上昇によるドル高が圧迫要因である。金は金利を生まないことから、国債の利回りが上昇すると、投資対象としての魅力が低下する。ただ今回はイールドカーブが再びフラット化しており、景気の先行き懸念が残る。また米企業の四半期決算発表で、キャタピラーや3Mは、コスト上昇と需要減が通期利益に悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。利益成長がピークを迎えたとの見方が出ており、株安や景気後退が意識されると、金はヘッジとして買われることになる。米10年債利回りが4年ぶりに3%台を回復した24日、キャタピラーや3M、ユナイテッド・テクノロジーズといった米産業を支える企業の株価が決算発表後に大きく下げ、翌日の25日にはニューヨークのSPDRゴールド残高が5.307トン増加し、投資資金が流入した。

 CMEのフェドウォッチによると、今回のFOMCでは金利据え置きが見込まれており、声明文の内容が焦点になる。一方、6月の利上げ確率は93.8%と0.25%利上げがほぼ織り込まれている。また12月は2.00~2.25%が42.6%、2.25~2.50%が39.9%となっており、年3回もしくは4回の利上げが見込まれている。

 一方、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は4月26日の理事会後の記者会見で、域内の景気拡大持続に対する自信をあらためて示す一方、景気の勢いが今年に入って弱まったことを認めた。1日の欧州債券市場で米10年債と独10年債の利回り差が29年ぶりの水準近くに拡大した。また、4月の英製造業購買担当者景気指数(PMI)の低下などを受けて5月10日の利上げ観測が後退した。

 欧米の当局者の見通しの違いはドル高を示しており、目先は4月の米雇用統計で流れが変わるかどうかも確認したい。事前予想は非農業部門雇用者数が19万人増、失業率が4.0%(前月4.1%)、平均時給が前月比0.2%増となっている。

●米中間の貿易摩擦を回避できるかどうか

 ムニューシン米財務長官は、訪中は5月3~4日を予定しているとし、対中貿易赤字の削減に向けた方策や、中国の知的財産侵害への対策を協議するとした。トランプ米大統領は4月3日、中国からの輸入品500億ドル相当への制裁関税を課す案を公表し、5日には1,000億ドルの積み増しを検討するよう米通商代表部(USTR)に指示した。初めての正式な交渉であり、貿易摩擦を回避できるかどうかが焦点である。ただ、ライトハイザー米USTR代表は、目指すのは中国経済の開放で、経済システムの変更でないとの認識を示し、ロス米商務長官は、訪中代表団が貿易不均衡是正に向けた交渉で合意できなければ、中国に関税を課す用意があるとの認識を示しており、交渉は難航することが予想される。

●南北首脳会談の共同宣言に朝鮮半島の非核化が盛り込まれる

 南北首脳会談の共同宣言では、「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と朝鮮半島の非核化が盛り込まれた。3月下旬の中朝首脳会談、ポンぺオ米CIA長官が平壌で金正恩朝鮮労働党委員長と会談したことに続き、朝鮮半島の非核化に向けた動きが確認された。「共通の目標を確認」と合意としなかったことに疑問を持つ向きもいるが、「恒久的で強固な平和体制構築のために、南・北・米の3か国、または南・北・米・中の4か国の協議開催を積極推進することになった」とされ、北朝鮮が平和に向けて協議する方針に変わりはない。

 トランプ米大統領は30日、北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談について、南北軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で行うことを示唆しており、次は米朝首脳会談に向けた動きが焦点である。非核化に向けた具体的な協議はこれからになるが、ポンペオ米国務長官(4月26日に就任)は29日に放送されたABCニュースのインタビューで、北朝鮮を訪問した際、金正恩党委員長に対し、米大統領と何らかの合意に達するためには核放棄に向けて「不可逆的な」措置をとることに合意しなければならないと伝えたことを明らかにした。各国は北朝鮮の非核化実現に向けて最大限の圧力を継続する見通しであり、今後の協議の行方を確認したい。

(minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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