【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:FOMC議事録、米貿易摩擦、円高進行
ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限22200-下限21300円
来週は自律反発の持続性を見極めることになろうが、まず米国では週末(16日)にオプション等の決済日が通過したことにより、VIXショックによる需給面での過度な警戒は後退する可能性がある。また、中国市場が春節で休場のため、アジア経由からの悪材料は出難い。そのため、リバウンドが意識されやすいところであろう。
また、米国では長期金利上昇に対する警戒感から、ここにきて金融株を物色するといったプラス面を評価する動きとなってきている。半導体株等への見直しもみられてきており、落ち着きをみせてきている。また、今週は21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。そこで3月の利上げが確実視され、さらに年間の利上げ回数が3回の見通しから4 回に変わる可能性もある。長期金利が急上昇する局面でのVIX指数を含めた市場の反応が注目されよう。金融株のほか、足元でリバウンドをみせてきている半導体関連への物色が続くようだと、日本市場のセンチメントも明るくさせそうだ。
一方で円高が重しとなる。政府は、衆参両院の議院運営委員会理事会に、4月8日に任期切れを迎える黒田日銀総裁を再任する国会同意人事案を提示した。これ自体にはサプライズはないが、次の期間はこれまでの異次元緩和から、正常化に向けた出口戦略を探る動きが意識されており、これが円高・ドル安に向かわせやすいだろう。そのため、米国のような理想的な反発は期待しづらいところである。
先週の動きを見る限り市場はそれほど警戒していないように映るものの、円高傾向により企業業績の上振れ期待が後退するため、自律反発の域は脱せず、本格反転に向かう相場展開は考えづらい面はある。また、トランプ米大統領は先週、「不公正」な貿易相手国には報復関税で対抗するとし、中国、韓国、そして日本を名指しした。米商務省は外国産鉄鋼に対し24%、アルミニウムに対し7.7%の関税賦課を提案すると明らかにしており、こういった動きも神経質にさせそうだ。
ただし、直近の波乱相場によってイレギュラー的に売られた銘柄は少なくない。新興市場の中小型株などは一気に需給整理が進捗した銘柄も多いと考えられるため、人材やクラウドなど、外部環境に振らされづらい好業績銘柄へは見直しの資金が集中しやすいと考えられる。
■為替市場見通し
来週のドル・円は106円を挟んだ水準でもみ合う展開となりそうだ。米国市場は落ち着きを取り戻しつつあるが、ユーロ高・ドル安が進行した場合、ドル・円の取引にも影響が及びそうだ。1月下旬以降、米国の株価と長期金利の不安定な動向が嫌気され、ドルの先安観が台頭している。米財政赤字拡大に対する警戒感は消えていないことから、主要通貨に対するドル売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
2月19日(月):貿易収支、ユーロ圏財務相会合など
2月20日(火):独ZEW期待調査、ユーロ圏消費者信頼感指数速報値など
2月21日(水):全産業活動指数、独総合PMI、ユーロ圏製造業PMI速報値など
2月22日(木):独IFO企業景況感指数、米景気先行指数など
2月23日(金):消費者物価コア指数、独GDP改定値など
《TM》
提供:フィスコ