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【市況】モルガン・スタンレーのレポート、「ビットコインの価値はゼロ」は本当か【フィスコ・ビットコインニュース】


モルガン・スタンレーのアナリスト、ジェームズ・フォーセッテ氏とそのチームは、ビットコインの本当の価値は「ゼロ」かもしれないとするレポートを作成した。レポートの中で「ビットコインの評価を試みる」と題した章では、ビットコインの価値を評価するにあたって考慮すべき点をいくつか挙げている。

このレポートで挙げられている考慮すべき点をいくつか下記に紹介しながら、妥当といえるかどうかを見てみたい。

・「ビットコインに通貨としての価値はあるだろうか? (答えは)ノー。ビットコインに関連するような金利は存在しない」

金利が存在しないことが「無価値」であるのなら、同様に金利が存在しない金(ゴールド)も無価値なのだろうか。そうとはいえないだろう。また通貨に限っていえば、金利の高い新興国通貨は価値が高く、金利の低い円は限りなく無価値ということになるのだろうか。金利と価値に必ずしも相関関係があるとは言えない。

・「デジタルなゴールドのようなものだろうか? そうかもしれない。エレクトロニクスやジュエリーなどに用いられる(本物の)ゴールドのような本質的な用途はない。だが、投資家はビットコインに何か価値があると考えている」

ゴールドの本質的な用途とは一体何だろうか。ロイター社の調査によると金需要の50%超は宝飾品となっている。ゴールドのアクセサリーなど、そのアクセサリー部分での価値はたかが知れている。本質はそのような部分でなく、皆が価値を持つと認めるものには通貨や資産としての価値があるということである。

・「決済に使えるだろうか? イエス。だが利用範囲は極めて限られる」

確かに現状、ビットコインやアルトコインで決済できる範囲はそう広くない。しかし、今ビットコインに価値を見出している投資家は、決済手段としてのビットコインに興味を持っているわけではない。ゴールドを決済に使うことがほとんどないのと同様である。

・「ビットコインの1日あたりの平均取引量は30億ドル(過去30日間)、対して、FXのそれは5兆4000億ドル」

平均取引量は時価総額に比例する。ビットコインも時価総額が更に増加すれば、取引量もそれに応じて増加する。そもそもビットコインの取引量がFXと比較して少ないからといって、ビットコインの価値がゼロということにはならない。

・「支払いに使用された量は、1日あたり推定3億ドル以下、対して、VISAカードは170億ドル」

既に述べたように、投資家は決済手段としてのビットコインに価値を見出しているわけではない。現時点で世界中に普及しているカード決済と発展途上のビットコイン決済を比較する方がナンセンスではないか。

・「ビットコインでの支払いを受け付けているオンライン小売業者の数は減少している」

投資家の多くは、更なる価格上昇を見込んでいるため、ビットコインを支払いで使いたがらない。繰り返しになるが、投資家は決済手段としてのビットコインに価値を見出しているわけではないし、支払いに使われないからといって無価値にはならない。

・「もしも誰もビットコインを支払手段として受け付けないなら、それは価値が“ゼロ”ということになる」

支払手段として受け付けないのでなく、受け付けるためのシステムの費用をかけるだけの使用量がないに過ぎない。「支払い手段として受け付けられない」=無価値とまでは言えないだろう。

ここでは、レポート内で紹介されているものから主だった点を取り上げているが、どれもビットコインの価値が「ゼロ」だという結論には至らないという印象だ。レポートを作成したフォーセット氏自身もあくまで「かもしれない」という言葉に留めている。

《SI》

 提供:フィスコ

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