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【特集】坂本慎太郎(Bコミ)の「板読み投資術 スペシャル」  <新春特別企画>

「朝9時10分までにしっかり儲ける板読み投資術」(東洋経済新報社)

 坂本慎太郎さん(ハンドルネーム「Bコミ」さん)が上梓した『朝9時10分までにしっかり儲ける板読み投資術』(東洋経済新報社)が話題を呼び、投資家の間で坂本さんが提唱する投資法への関心が高まっている。株価の動きを先読みするという「板読み投資術」、その習熟に必須のポイントを坂本さんに解説いただく。


text 坂本慎太郎(Bコミ)

●需給に重きを置く「第3の売買法」

 「どのような手法で株にアプローチしていますか?」

 こう問われたほとんどの人がテクニカル、ファンダメンタルズのどちらかを重視して意思決定をしているだろう。

 「売買が行われる場所はどこ?」という質問をすると、「東証または取引所」と答えるはずだ。場所という質問なので売買する場所は取引所だが、「板」という答えも間違いではない。

 板とは上場している銘柄ごとに個別のオークションを行う場所で板に買いたい人、売りたい人が欲しい値段に欲しい株数を入れ、売りと買いが合致した値段で売買が成立する。成立を待たずに売買したい人は、現在値の上にある売り指値を買う、あるいは下に並んでいる買い指値に売りをぶつけることで約定価格が変化し、株価につながる。

 当たり前だが、この買い需要が強ければ株価が上昇し、売り需要が強ければ株価は下落する。

 この板のメカニズムを利用した売買を「板読み売買」といい、テクニカルでもファンダメンタルズでもない需給に重きを置いた売買である。

 板読み売買は証券会社のディーラーや短いタームで売買するデイトレーダーに使われてきた手法だが、アルゴリズム取引などの売買の多頻度高速化の流れにより売買が難しくなっている。このため、板読み売買は「廃れた手法」と認識されて実践する人はもちろん、興味を持つ人も減っているのが現状だ。

 話は戻るが、ほとんどの売買が板上で行われるため、最低でも板のメカニズム、基本的な板の動きや取引手法を知っておいても損はない。

 板の強弱を基に行う売買は先読みもできるため、身に着けることができれば取引手法に厚みが生まれるだろう。

 私は2017年の夏に東洋経済新報社から『朝9時10分までにしっかり儲ける板読み投資術』という本を出版し、ここに板読みの基本と練習方法を記している。本コラムでは板読みで重要な点について取りあげる。既に本を読んだ方も参考にしていただければ幸いだ。

●2つのポイント習熟が上達への近道

 板読みを使ったトレードは「利食い、損切りした株価を覚える」「同値撤退の徹底」この二つを押さえておくことが上達の近道だ。

 「利食い、損切りした株価を覚える」については、読者は今日取引した価格を覚えているだろうか? 覚えていない方はトレードの動機や根拠が薄いからで、これはエントリーをする前に利益確定、損切りを行うポイントを定めてからエントリーを繰り返すと自然と身につく。

 覚えることの利点は「トレードの根拠を定着させ、そこを軸に反復継続して練習を行うこと」、これが板読み売買の第一歩となる。

 「同値撤退の徹底」についてはデイトレードの勝率は5割を少し上回る程度、できれば6割に近い5割台で十分なため、大きな損失を避けることがデイトレードで利益を残す一番重要なポイントとなる。

 同値の撤退については手数料や金利面で損になるので極力やりたくないトレーダーが多数いるが、同値撤退は勝ちと一緒だろう。繰り返すが、デイトレードの勝率は5割台で十分。大きな損をしないように凌ぎながらチャンスを待つスタンスが基本である。エントリーした後に損が出そうなパターンを想定すると、同値で撤退できるようになれば勝率は間違いなく上昇するはずだ。

 もう一つの大切なポイントである「利食い、損切りした株価を覚える」と組み合わせて反復継続して練習して欲しい。まず、板読み売買の練習は下値に板が入っている銘柄で練習し、同値が難しくても1円下で撤退できる銘柄を選ぶことが大切だ。

 最初は板上で利食いと損切りのポイントを守る練習を繰り返していくと、「このパターンは上がる」や損失を減らすために一番重要な「このパターンになるとまずい」という危機察知能力が身に付いてくる。「まずい」と思ったら最初に設定していた損切りポイントの前でポジションを解消、勇気ある撤退をするべきだ。

 時間はかかるが、これができると勝率が劇的に改善するうえ、ある程度身につけば著書で紹介している寄り付き売買習得の近道になるだろう。


◆坂本慎太郎(さかもと・しんたろう)

証券会社の株式ディーラー、大手生命保険会社の株式・債券ファンドマネジャーを歴任し、2015年に中級者向けにトレード指導を行うこころトレード研究所を設立。16年にはデイトレ・スイングトレード通信スクールを運営する株式会社イタヨミを設立。ハンドルネームはBコミ。

◆坂本慎太郎のベストセラー「朝9時10分までにしっかり儲ける板読み投資術」(東洋経済新報社)

板の基本から板読み力を高める練習方法、板読み投資に適した銘柄の見つけ方、具体的な買い方・売り方、リスク管理法、板読み投資の実践テクニックなど、年収1億円超えの元ディーラーが自身の経験に基づく投資手法をあますことなく解説。


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