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【特集】Pウォーター Research Memo(1):顧客獲得好調により売上高は上振れ、新株発行により資本増強

プレミアムW <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、天然水製造が強みの株式会社ウォーターダイレクトと営業力が強みの株式会社エフエルシーが経営統合して生まれた企業グループである。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切った。強力な営業組織と販売ノウハウが強みであり、顧客保有数597千人(2017年11月末時点)を増やし続け、売上高で業界トップに躍進した。

1. ビジネスの特長
同社は、採水、製造、販売、配送の各プロセスにおいて独自の強みを持つ。成分や安全性の厳しい基準をクリアした、山梨県の富士吉田・島根県の金城・熊本県の南阿蘇の3ヶ所から採水。製造に関しては、国内トップクラスの製造品質及び出荷量を誇る。配送はワンウェイ方式のため、一定のコストに抑えられる。事業は「投資回収型ストックビジネスモデル」であり、ウォーターサーバーの原価やデモンストレーション販売の費用を会社側が最初に負担し、天然水の売上で徐々に回収していく。新規顧客を一気に増やす時期は赤字になるが、その後回収が進んでくると大きく黒字に転換するという事業特性である。

2. 業績動向
2018年3月期第2四半期の売上高は12,769百万円(前年同期比44.2%増)、営業損失813百万円(前年同期は108百万円の利益)となり、大幅な増収とともに損失を計上した。売上高はアグレッシブな第2四半期期初計画をさらに超え、一方で損失額も計画以上となった。売上高の急激な伸びに関しては、2016年7月の経営統合以来、新規顧客の獲得ペースが加速しており、それに伴い保有顧客数が大きく伸びたことが要因だ。損失計上に関しても、新規顧客の獲得ペースが早まったことが大きく影響した。上期合計で新規顧客数約20千件上振れており、その分の獲得コストは利益を押し下げる要因となる。同社では2018年3月期をより大きな成長のために新規顧客を獲得時期と位置付けており、大きな損失額は順調に計画が遂行されている証と考えて良いだろう。

3. 業績見通し
2018年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比40.4%増の28,000百万円、営業損失は同780百万円拡大で1,350百万円の損失の見込みであり、期初の予想からさらに増収幅が大きく、損失額も大きくなった。売上高予想28,000百万円と上方修正された要因としては、新規顧客契約数が予想以上に順調であり、顧客基盤が拡大しているためである。通期の各利益予想が下方修正されたが、主に上期の新規獲得ペースが早まったためであり、下期予想は期初予想に近い。先行投資が大きいほど将来の収益も大きくなるため、好調と判断するが、黒字化のタイミングは来期以降になる予想だ。

4. 成長戦略・トピック
同社は仮想通貨(トークン)の発行に向けた検討をしている。今回検討している目的は、資金調達がメインではなく、グローバルを対象としたホワイトペーパーによる宣伝効果やユーザーの加入促進・利用促進がメインとなる。なお、同社で仮想通貨(トークン)を発行するか否かを含めて、今後総合的に検討していく段階であり、まだ確定した情報ではないとしている。仮に実行される場合には、上場企業では初のケースとなるためその動向が注目される。

■Key Points
・天然水の宅配で急成長、売上高で業界トップに躍進
・顧客獲得好調により売上高は上振れ(前年同期比44.2%増)、損失額拡大は好調の証
・光通信グループの中の好調事業の位置付け、新株発行により資本増強

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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