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【特集】植木靖男氏【今年も大詰め 第一線のプロが見極める年末年始相場】 (1) <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

―切り返し鮮烈! 大勢上昇トレンド復帰のその後を読む―

 12月も中旬に入り、年の瀬も押し詰まってきた印象が強い。日経平均株価は6日に445円安と今年最大の下げ幅をみせ投資家心理を動揺させたものの、その後はバランスを立て直し再び上値指向を強めつつある。ただ、日経平均2万3000円近辺は売り圧力も強く油断はできない。個別銘柄の物色対象も微妙に変化を続けており、流れに乗るのは見た目以上に難しい地合いともいえる。そこで、経験豊富なベテラン・マーケット関係者3人に年末年始相場をどうみているか改めて意見を聞いた。

●「上値指向だが今週がポイント、材料株優位の構図に」

植木靖男氏(株式評論家)

 マーケット心理は再び強気に傾いており、当面はどこまで上値を試せるかに投資家の意識が向いている。ただし、日経平均2万3000円近辺はこれまでの経緯でも分かるように、意外と売り圧力が強く上値が重くなる傾向がある。今週がひとつのポイントになるとみており、この2万3000円ラインを一気に上抜いていくことができればそれに越したことはないが、できない場合は、当面2万2000~2万3000円の往来相場の様相を強める可能性も否定できない。

 もちろん、12月のFOMCでの利上げについては日米ともにマーケットは織り込み済みで、地政学リスクについても世界経済への影響という点では現時点で限定的といえる。したがって、大崩れするパターンは考えにくいが、かといって上昇波動を加速させる材料にも事欠いている。

 過去を振り返っても1月相場は機関投資家の新規の買いが入ることから上昇しやすいが、12月はそれほど強くない。最近は株を枕に越年というムードはなかなか盛り上がりにくく、特に今は世界株高の立役者である米国株市場も高値圏で警戒感が漂う状況にある。好調な企業業績を背景に下値に対するリスクは限定されるとはいえ、主力株に逆風が吹くケースも考えておきたい。

 こうしたなか、物色対象は中小型の材料株に有利な流れとなろう。個別にはフィンテック関連で業績も好調に推移するセレス <3696> や、イメージセンサー向けに検査用光源装置を手掛けるインターアクション <7725> などが強い動きをみせておりマークしたい。また、内需の成長株では台所用品などを手掛けるレック <7874> の戻り相場に力がある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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