【特集】大谷正之氏【2017年最終コーナー、注目銘柄・注目セクターは】(3) <相場観特集>
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
―2万2000円台の往来どこまで続く、“強気・弱気”どちらで臨む―
週明け27日の東京株式市場は、朝方はリスク選好ムードで始まったものの、寄り後は日経平均株価の上値の重さが露呈、前場後半から売り優勢の地合いに変わった。欧米株高に牽引される形で上値追い態勢が続く日本株だが、足もとは買い疲れ感も意識される場面。2017年相場も師走が目前でいよいよ大詰めを迎える。確度の高い市場予測で定評のあるマーケット関係者3人に年末相場を占ってもらった。
●「12月末までに年初来高値更新を目指す展開に」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
10月以降の日経平均急上昇の反動もあり、足もとは日柄調整がしばらく続くことになりそうだ。米下院が、法人税率を35%から20%へ大幅に下げる税制改革法案を賛成多数で可決したものの、上院が税率の引き下げ時期を1年遅らせる独自案を審議中で、成立には両院のすり合わせが必要となっている点は多少の不安材料といえる。
ただ、国内では4-9月期決算の発表を経て、総じて企業業績の良好さが確認され、各種経済指標も堅調な推移が想定されそうだ。こうした好環境を背景に、全体相場は再びジリ高歩調の上昇トレンドに復帰することが見込まれる。年末までには、日経平均が9日につけた取引時間中の年初来高値2万3382円を更新してくる可能性もある。
物色動向は、主力銘柄にやや買い一巡感が出ていることもあり、周辺銘柄へ波及する循環物色に広がりをみせそうだ。例えば、半導体関連であれば、“製造装置”といったとろから、半導体の“原料”や“部材”を手掛ける化学セクターや非鉄セクターに物色が広がることになる。一方、この年末のIPOラッシュは、例年に比べて東証1、2部の本則市場への新規上場銘柄が多く、株式需給面でのマイナス影響の覚悟もある程度必要だ。
個別銘柄では、まずオムロン <6645> に注目。主力のIAB(制御機器)では、主に国内と中国、東南アジア向けが良好に推移しているのに加え、中国家電向けに電子部品も堅調。さらに、超高速でセンサーのデータをやりとりできる強みを生かして、生産ラインに取りつけた数多くの高性能センサーからのデータを収集・分析し、熟練工の技も学んだ人工知能(AI)が、自ら判断を下していくシステムを構築中で、IoTサービス基盤「i-BELT(アイ・ベルト)」として顧客に提供する。
さらに、士業(公認会計士、弁護士など)と一般事業会社の管理部門に特化した人材紹介業を手掛けるMS-Japan <6539> [東証M]に注目。新規登録者数の拡大により、会計事務所や税理士法人など専門的な組織への人材紹介が増加し、業績は好調推移。東証1部への指定変更を目指している。また、セキュリティー対策ソフトとシステム構築が柱のソリトンシステムズ <3040> も見逃せない。「働き方改革」に対応して、テレワークや在宅勤務を支援するセキュリティー製品を拡充。軽量小型の新映像電送機は、ドローン搭載などにより、放送局外の需要を開拓する。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース