【特集】“上昇トレンド”変わりなし、調整中こそ狙いたい「割安&増額」株 <株探トップ特集>
ラサ工 <日足> 「株探」多機能チャートより
―“当然の”急ブレーキ東京市場、通期経常益増額銘柄に照準―
週明け13日の東京株式市場は、前週末の欧米株式市場の軟調を受けて利益確定の売りが先行し、日経平均株価終値は、前週末比300円43銭安の2万2380円99銭と4日続落した。こうした短期的な調整は避けられないものの、中期上昇トレンドは継続することになりそうだ。18年3月期通期の経常利益を上方修正した割安銘柄に照準を絞った。
●銭高組、工事の順調な進捗と採算改善が追い風に
銭高組 <1811> は7日、18年3月期通期連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を1259億円から1292億円(前期比16.5%増)へ、経常利益を37億5000万円から56億2000万円(同34.1%増)へそれぞれ増額した。売上高については、工事の進捗が順調に推移しており、増加する見込みとなった。利益面では、当初予想に比べて工事採算が改善したことにより増額修正となる。PERは10倍台、PBRは0.7倍台と割安水準にある。
●旭化成、石化市況好転やエレクトロニクス部門の伸びが寄与
旭化成 <3407> は7日、18年3月期通期の連結業績予想を上方修正し、売上高を1兆9900億円から2兆円(前期比6.2%増)へ、経常利益を1700億円から1920億円(同19.5%増)へそれぞれ増額した。ケミカル部門で、石化市況好転に伴うアクリロニトリルなどの交易条件が改善したことが収益押し上げ要因となっている。また、合成ゴムで交易条件が改善したことや、エンジニアリング樹脂の販売好調。さらに、エレクトロニクス部門で、リチウムイオン2次電池用セパレーターを中心に各製品の販売数量が大幅に増加し、カメラモジュール用電子部品 や家電向け磁気センサーなどの販売が順調に推移していることも寄与している。
●ラサ工、半導体向け高純度リン酸や破砕関連機械の受注が増加
ラサ工業 <4022> は6日に、18年3月期通期の連結業績予想と配当計画の修正を発表した。経常利益を14億円から19億円(前期比41.6%増)へ、最終利益を10億円から15億円(同13.1%減)へ上方修正した。ただ、売上高は260億円(同11.7%増)で据え置いた。期末一括配当を従来計画比10円増の30円とする方針を示した。半導体向け高純度リン酸や、破砕関連機械の受注増加を見込んでいる半面、下水道関連の掘進機の海外向け販売については慎重にみている。
●藤倉ゴム、自動車部品や液晶・半導体関連製品が拡大
藤倉ゴム工業 <5121> は9日、18年3月期通期の連結業績予想を上方修正し、売上高を317億円から333億円(前期比5.3%増)へ、経常利益を16億円から23億円(同27.6%増)へそれぞれ増額した。産業用資材セグメントで、自動車用部品および液晶・半導体関連製品が拡大し、スポーツ用品セグメントのゴルフ用カーボンシャフトの受注が国内外で想定に比べて好調な売上高を示していることが寄与している。さらに、為替が想定よりも円安で推移していることも押し上げ要因となっている。
●パンチ工、自動車関連や電子部品・半導体関連が堅調に推移
パンチ工業 <6165> は10日、18年3月期通期の連結業績予想について、売上高を380億円から406億円(前期比10.8%増)へ、経常利益を21億円から24億4000万円(同30.2%増)へそれぞれ増額し、期末配当予想を従来予想の13円50銭から8円75銭(分割前換算で17円50銭)に修正し、実質増額修正した。同社では、国内で自動車関連が引き続き好調に推移していることや、海外で自動車関連や電子部品・半導体関連が堅調に推移していることなどが寄与している。同時に、12月31日を基準日として1対2株の株式分割を実施すると発表している。
●松田産業、貴金属関連・食品関連ともに順調推移
松田産業 <7456> は9日、18年3月期通期の連結業績予想の上方修正を発表し、売上高を1750億円から1900億円(前期比16.5%増)へ、経常利益を35億円から44億円(同27.2%増)へそれぞれ増額した。売上高については、対象業界の需要増大を捉えた製品・商品・サービスの提案など、積極的な営業展開に努めた結果、貴金属関連事業ならびに食品関連事業いずれも期初の計画を上回り順調に推移した。また、利益面では、増収に伴う売上総利益の増加に加え、貴金属価格の上昇による影響もあり、計画を上回る見通しにある。
●A&D、リストバンド型活動量計の大口受注などが寄与
産業、医療用の計量・計測機器メーカーのエー・アンド・デイ <7745> は8日、18年3月期通期の連結業績予想の上方修正を発表し、売上高を425億円から427億円(前期比6.2%増)へ、経常利益を13億円から18億円(同62.9%増)へそれぞれ増額した。リストバンド型活動量計の大口受注や血圧計の販売好調で、医療・健康機器事業が寄与している。生産性向上で原価が大きく改善したことに加え、計測・計量機器事業の業績好転も黒字浮上に貢献した。
●バイテックHD、イメージセンサーの販売が多方面で好調
総合エレクトロニクス商社のバイテックホールディングス <9957> は7日、18年3月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を1700億円から1880億円(前期比35.4%増)へ、経常利益を22億円から25億円(同20.9%増)へそれぞれ増額した。売上高については、デバイス事業においてイメージセンサーの販売がスマートフォンやデジタルカメラ、車載カメラモジュール向けに回復伸長している。また、メモリー製品の販売が液晶テレビ向けを中心に好調に推移しているほか、環境エネルギー事業の電力小売事業が大幅に伸長していることも貢献している。また、利益面では、デバイス事業の売上伸長に伴う利益増加、環境エネルギー事業の電力小売、売電の利益増加および太陽光のパネルや関連部材販売の利益増加が寄与している。
◆主な18年3月期通期経常利益上方修正銘柄◆
修正前 修正後
銘柄 <コード> 利益 利益 増益率 株価 PER
銭高組 <1811> 3750 5620 34.1 6260 10.6
PS三菱 <1871> 3140 4600 33.2 830 11.4
東洋建 <1890> 7100 8400 32.8 616 10.3
旭化成 <3407> 170000 192000 19.5 1487.0 14.8
ラサ工 <4022> 1400 1900 41.6 2397 12.7
石原産 <4028> 3700 8600 18.1 2054 12.6
デンカ <4061> 28000 31000 33.9 3915 15.6
日触媒 <4114> 26000 30000 21.6 8330 15.1
大日精化 <4116> 11300 14300 17.2 5720 10.6
タキロンCI <4215> 6500 8100 79.2 832 13.5
旭有機 <4216> 2100 3000 54.3 1822 15.2
藤倉ゴム <5121> 1600 2300 27.6 939 12.9
有沢製 <5208> 3550 4100 52.4 1224 15.1
大紀アルミ <5702> 5270 6000 28.1 881 8.7
牧野フ <6135> 10800 13000 30.0 1100 12.1
パンチ工 <6165> 2100 2440 30.2 2271 15.8
ヘリオスTH <6927> 1700 2600 89.1 1101 11.1
ティラド <7236> 4500 5600 58.0 3735 12.4
ミクニ <7247> 3500 4000 15.3 649 8.7
松田産業 <7456> 3500 4400 27.2 1730 15.3
A&D <7745> 1300 1800 62.9 654 13.4
バイテックH <9957> 2200 2500 20.9 1759 13.9
やまや <9994> 5700 6600 25.8 2585 10.8
※株価は13日終値(単位:100万円、%、円、倍)
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