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【経済】NYの視点:中国中銀総裁の異例な「ミンスキーモーメント」警告、株式相場の高値警戒感


世界の株式相場は史上最高値水準に達した。米国だけでなく世界経済の回復が続くほか異例な低金利が奏功。このような状況下、高値警戒感も浮上した。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は経済の早いペースでの成長が「ミンスキーモーメント」の可能性に直面していると述べ、過剰な債務、投機的な投資によるリスクを異例な文言を用いて警告した。

すべてが問題なく進んでいるとき、過剰に楽観的になる警告にあり、しばしば急激な調整につながる可能性があると指摘。こういった「ミンスキーモーメント」を防御する必要があると訴えた。「ミンスキーモーメント」とは、米国の経済学者、ハイマン・ミンスキー氏の名に由来する。経済の隠れていたリスクが突如あらわれ、資産価格が下落、デフォルトをもたらす。ミンスキー氏は金融市場の本質が不安定で、債務に基づく投資に脆弱だと信じていた。世界経済をけん引している中国の7-9月期国内総生産(GDP)は前年比+6.8%と、政府の目標を上回るペース。

総裁は中国の企業債務水準が非常に高く、消費者の債務も低いレベルながら拡大しつつあると指摘。さらに、規制の緩和や為替相場のさらなる変動を認める必要があると訴えた。中国の習近平国家主席は党大会で、金融保証が今年の最優先課題だと主張。また、エコノミストは経済の深刻なリスクを生むとして、2008年の金融危機以来で最大に膨れ上がった中国の巨大な債務を警告した。国際通貨基金(IMF)も8月、中国の債務が「危険的水準」と警告。米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスや米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も過剰な債務の拡大で、本年の中国の格付けを引き下げた。

トランプトレードが復活する中、リスクにも十分な防衛が必要となる。

《CS》

 提供:フィスコ

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