市場ニュース

戻る
 

【特集】タマホーム Research Memo(9):現行の中期経営計画は下方修正するも、成長戦略は着実に進行中

タマホーム <日足> 「株探」多機能チャートより

■中期経営計画について

タマホーム<1419>は2018年5月期を最終年度とした中期経営計画「タマステップ2018」を2015年に発表し、「“面” の展開から、“層” の拡大による成長へ」を基本方針に業績の拡大を目指してきた。 “面”の展開とは営業エリアの拡大による成長を指し、同社が創業以降、推進してきた営業戦略だが、営業エリアの全国展開が一巡したこともあり、新たな成長戦略として“層” の拡大、すなわち多様な商品・サービスを展開しながら顧客層を拡大していくことで成長を目指す戦略を打ち出したものだ。

経営目標値として、2018年5月期に売上高で2,000億円超、営業利益率3.5%、ROE15%を掲げていたが、今回これを売上高1,702億円、営業利益率2.4%に修正した。修正要因として、東京オリンピックの建築需要による職人不足の顕在化が、住宅建築の施工にも影響を及ぼし始めていること、多様化する顧客ニーズに対応した商品の開発(地域限定商品)が遅れ、計画よりも販売棟数が減少する見込みとなったこと。また、ハイライン商品においては出店候補地の選定等に時間を要し、当初の販売目標であった500棟を大きく下回る15棟に見直したことなどが主因だ。

また、不動産事業においても、主要都市圏での地価高騰の影響を受け、戸建分譲用販売用地の確保が進まず、販売棟数が計画を下回る見込みとなったこと、及び不動産仲介事業についても当初の想定よりも立ち上げペースが遅れていることなどが修正要因となっている。

ただ、「“面” の展開から、“層” の拡大による成長へ」という基本戦略は着実に進んでおり、地域限定商品やベーシックライン商品については販売が増加するなど取り組みの成果が出始めているのも事実。2018年5月期より本格販売を開始するハイライン商品が順調に立ち上がれば、注文住宅事業についての成長期待が更に高まるものと考えられ、その動向が注目される。

また、リフォーム事業やサブリース事業が今後の安定収益基盤として収益増に貢献すると予想されるほか、ホテル関連事業についても、大阪、福岡での自社ビルの再開発予定や、ホテル運営受託事業の検討を行うなど、今後の事業拡大が見込まれる。

今後策定する新中期経営計画についても基本的な成長戦略は変わらない見通しで、住宅事業の拡大並びにその周辺事業への展開を推進していくことで更なる成長を目指していくものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均